
ヨガスタジオのCMでも目にしたことがあるであろう、三角のポーズ。
ヨガレッスンの中で出てくる頻度は高く、初心者のかたでもやりやすい立位のポーズの1つと言えます。
筆者がレッスンを行うときも、よく登場してくるポーズの1つです。しかし生徒さんを見ていると、馴染み深いポーズにも関わらず、ポイントが分からずやっている、どこに効いていると良いのか分かっていないことがよくあります。
せっかく頑張って練習しているポーズなのに、効果が分かっていないことほどもったいないことはありません!ヨガ初心者のかたも慣れているかたも、三角のポーズについて詳しく知っていきませんか?
CONTENTS
1.三角のポーズ(ウッティタ・トリコナーサナ)とはこんなポーズ
三角のポーズのとりかたから見ていきましょう。
1.両足を1メートルほど開きます。
2.左足先を90度外側に向け、右足先は少し内側に向けます。前足のかかとの延長線上に、後ろ足の土踏まずが来ていることを確認しておきましょう。
3.両手を肩の高さに上げ、左手を真横にスライドさせます。
4.いけるところまでいったら、吐く息とともに上体を横に倒し、左手はマットもしくは足の添えられるところに置きましょう。
5.視線は右手指先を見て、呼吸を繰り返していきます。
三角のポーズがとれているか4つのチェックポイント
①両足裏がマットに根付いているか
②上半身が前後に倒れていないか
③両ひざが伸びているかどうか
④右のお尻が前に出てきていないか
以上4点ができているかどうか、ぜひチェックしてみてくださいね。
筋肉は収縮・弛緩の2つの動きをします。また筋肉の長さは、短縮・伸張の2つの長さがあります。三角のポーズのときは、筋肉が収縮(力を入れた状態)した状態で、かつ筋肉の長さは短縮もしくは伸張の状態にあります。人によってポーズの感じ方に差が出るのは、こういった筋肉の動きや長さによるものです。
三角のポーズと言われる場合と、ウッティタ・トリコナーサナもしくはトリコナーサナとサンスクリット語で言われる場合が多いポーズです。英語ではトライアングルポーズと言います。
レッスン中盤に出てくることが多いポーズです。太陽礼拝の動きを行ってからこのポーズに入ることがよくあります。
2.三角のポーズの効果・効能
意外とどこに効いているのか知られていない、三角のポーズ。実は万能なポーズの1つなのです。効いているところが分かると、体の使い方も理解しやすくなりますよ。筆者の体験談も合わせてご紹介していきます。
参考文献は、いちばんよくわかるYOGAポーズ全集・オムヨガRYT200養成コーステキストです。
2-1.お尻・脚・腹部のストレッチ
三角のポーズでは、下半身の筋肉を大きく使っています。まず意識して欲しい部位が、お尻・脚・お腹まわりです。脚が伸びている感覚はつかみやすいかと思いますが、実はお尻とお腹まわりにも効いているのです。
筆者は脚のむくみが気になる、疲れが溜まっているといった要望をいただいたときは、レッスンにてこのポーズを行うようにしています。疲れているときでも激しい動きをするわけではないため、取り入れやすいですよ。
2-2.ハムストリング・ふくらはぎ・足首のストレッチ
前に出している足のハムストリング・ふくらはぎ・足首が心地よく伸ばせます。前屈などで伸ばすことは苦手だけれど、このポーズだと気持ちよく伸ばせるといった声も聞きます。
一方で伸びすぎて痛いと感じるかたもいるでしょう。そんなときは無理せず、軽く膝を緩めてあげるのもオススメです。
2-3.脚・背中の疲れを緩和
ストレッチをすることで血行が促進されます。1日同じ姿勢が続いて疲労が溜まっている、猫背気味、最近背中を伸ばす動作をしていないかたにはやってほしいポーズです。
筆者はヨガレッスンを行いつつ、パソコンで作業する時間もあります。ずっと座ったまま画面を見続けていると体は疲れ、気持ちもだらけてしまうときがあります。そんなときは、さくっと三角のポーズをとって全身スッキリしています。少し行うだけで、そのあとの仕事効率や集中力が変化します。今このコラムを書いている途中にも実践しています。騙されたと思ってやってみてはいかがでしょうか?
2-4.ウエストを引き締める
これからの時期に嬉しい効果の1つかもしれません。やってみると感じるかと思いますが、上半身を開こうとすると、ウエストまわりにねじりが入ります。これによってウエストまわりの筋肉が使え、引き締め効果がアップします。
腹筋トレーニングは辛いといったかたには、こういったポーズでアプローチしてみるのも良いかもしれませんね。
3.三角のポーズで陥りやすいこと
全身を使ったポーズの場合、様々なことを意識しなくてはいけなくなります。三角のポーズではどういったことが起きやすいのか事前に知っておきましょう。対策は4章でご説明しています。
3-1.上半身が倒れてしまう
三角のポーズでは、上半身は体側の長さが均等であると良いと言われています。
この状態をキープするには、お腹まわりの筋肉を使って上半身を支える必要があります。
しかしお腹が上手く使えていないと上半身が倒れ、片方の体側が縮こまっている状態になってしまいます。
3-2.ひざが痛くなる
頑張ろうとやる気があるかたこそ注意が必要かもしれません。
三角のポーズは、両ひざを伸ばしている状態が続きます。ポーズをキープしていると、ひざが痛くなってくるかたは4章を参考にしてみてください。
中にはひざの過伸展によって痛くなってしまう場合もあります。そういったかたも意識すべきポイントがあるため、4章を参考に練習をしてみましょう。
3-3.上のお尻が前に出過ぎてしまう
三角のポーズでは、体を薄くするイメージを持つと良いと言われています。
壁と壁の間に挟まれても、どこにもぶつからないような体制を目指していきます。
上半身を倒したときに、一緒に上のお尻が前に出てきやすくなってきます。こうなると両体側の長さが均等にならず、期待できる効果が半減してしまうでしょう。
4.三角のポーズを完成するためのコツ
陥りやすいことが分かったところで、どうすれば三角のポーズが完成できるのか、コツも知っていきましょう。これさえマスターできれば、あなたの三角のポーズも完璧になっちゃう?!
4-1.ブロックを使って練習をする
ブロックを使うことは、ポーズが快適にとれる・正しいポーズをとれるきっかけになります。
上半身が倒れちゃうかたには、ブロックを使って練習することをオススメします。
完成形では下の手はマットもしくは足のどこかに添えますが、三角のポーズに入る前に、あらかじめ前足の横にブロックを置いておきます。置き方は縦でも横でもOKです。自分の状態に合わせて置きましょう。
ブロックに手を添えるだけで、上半身が倒れすぎてしまうことが防げ、気持ちよく呼吸を繰り返すことができるでしょう。
4-2.足幅を狭める
本来は1メートルほど足幅を広げますが、これで練習するとひざが痛くなってしまうといったかたは、足幅を狭めてからスタートしてみましょう。下半身にかかる負荷が軽減され、痛みから解放されます。
4-3.深く倒れようとしない
ヨガをやっているとありがちなことですが、深く倒れることが良い!と思ってしまうときが出てきます。
確かに前屈などはどんどん深めていくことも目的の1つなっていますが、自分の体の状態と合っていないと意味がありません。
三角のポーズでも、手をマットに付けたいがために深く倒れようとすると、ひざが伸びすぎて痛くなってしまったり、上のお尻がどんどん前に出てきてしまい、本来の三角のポーズと異なった形になってしまいます。
頑張る気持ちもとても大切ですが、今心地いいと思えるところを目指すこともとても大切なことです。
5.こんなかたは三角のポーズをとるときに注意が必要
初心者のかたも取り組みやすい立位のポーズですが、気を付けるべきときがあります。ヨガを快適に行うためにも、該当するときは無理をしないでください。
5-1.首が痛い
ポーズが完成したら、目線を上げている手の方向に向けますが、首が痛いかたや辛いと感じるかたは無理をする必要はありません。正面を向いた状態でもOKです。
5-2.ひざが痛い
実際にやってみると、ひざに負担がかかりやすいポーズだということは実感しているかと思います。ひざが痛い、ケガをしているときはお休みすることをオススメします。ひざを緩めるなどのコツもお伝えしましたが、体の調子が万全な状態であることが前提です。
5-3.血圧に不安があるかた
ポーズに慣れていないときは、気付かずに頭が下がった状態が続いてしまいます。血圧に不安があるかたは自己判断で練習しないようにしてください。
5-4.ひざが過伸展のかた
過伸展とは、関節が必要以上に反ってしまう状態のことを指します。
この状態で練習を続けていると、負荷がかかりすぎてしまい、痛みやケガにつながるため気を付ける必要があります。
三角のポーズは、ひざが過伸展になりやすいです。完成形をとったときに、前ひざが少し反ってしまうかたは過伸展かもしれません。該当するかた、もしくは以前インストラクターから少し緩めてと言われた経験があるかたは、
・足の親指に力を入れる
・前ひざを1度曲げ、ひざとつま先を同じ方向に向けなおす
・軽くひざを曲げるイメージで緩める
この3つを意識してみてください。
ひざを曲げるイメージで緩めると伸びていないのでは?と感じるかもしれませんが、過伸展のかたはこれくらいでちょうど良いのでご安心くださいね。
初心者のかたでも始めやすいポーズの1つですが、詳しく見てみると意識すべきポイントがたくさんあると感じたかたも多いかもしれません。最初はあれこれ考えながらやると難しいと感じるときもあるかもしれません。しかし正しいやりかたを体に染み込ませられれば、そのあと困ることも少ないはずです。楽しむ気持ちも忘れずに、練習を重ねてみてくださいね。