古来インド生まれの伝統的な医学として世界的に知られるアーユルヴェーダ。
その教えは医療知識の範囲を超え、哲学や心理学などに及ぶいわば「生きるための先人たちの知恵」。
食事やヨガ、呼吸法など生きることそのものがアーユルヴェーダにおいては治療の対象とされるのです。
「ダイエットに良いと聞いた食品を試してみたけど痩せなかった」
「水を毎日2ℓ飲んでいるけど健康効果が実感できない」
上記のように健康や美容に良いとされる習慣を実践していても、思った通りの結果が得られないという経験がある人も少なくないはずです。
その原因は、個々人の生まれつき持つ性質や、体調や年齢などによりわたしたちが求める健康法や美容法は実は異なってくるからです。
本当に今の自分に必要なアプローチを実践できていなければ、期待した効果が得られない、時によっては逆効果となってしまうことも……
アーユルヴェーダでは「絶対に○○をすべき」といった方法にとらわれることなく、その人の性質や状態に合わせいちばん効果的様々なアプローチを提案しています。
アーユルヴェーダはインド公認の医学として省庁も設置されている他、欧米の医師なども「西洋医学と伝統医学の融合」である統合医療のひとつとして注目を集めているのです。
「近代西洋医学と伝統医学や相補・代替医療の併用により、近代西洋医学の治療による副作用を軽減し、治療効果とQOLを向上させる。」
引用元:一般社団法人 日本統合医療学会
IT化が進み便利となった面もある一方で、気候変動や世界的なインフレなど不安定さを感じながら日々わたしたちは生きています。
アーユルヴェーダのメリットやアプローチ方法を知ることで、本当にあなたに合った美容や健康を叶えるヒントを得ることができます。
CONTENTS
アーユルヴェーダの概要や歴史
アーユルヴェーダとは、一言で表現するとインド・スリランカ発祥の世界最古の伝統医療のこと。語源はサンスクリット語の「Ayus(アーユス)」と「Veda(ヴェーダ)」の2つを組み合わせたもので、日本語に直訳すると「生命」と「科学」という意味の言葉です。
その中身は日々の暮らしに密着した健康的な生活習慣や人生の哲学そのものと言った相対的・包括的を表すホリスティックな価値観や考え方のことを指しています。
WHO(世界保健機構)に予防医学として認められたことで、アーユルヴェーダは国際的な関心が高まっています。
アーユルヴェーダはどこから今日の日本へやってきたのでしょうか?
歴史やルーツを紹介します。
インドにおけるアーユルヴェーダ
現在用いられている伝統医療の中では最古とされており、その歴史は5000年以上にさかのぼります。
・紀元前3000年頃
古代インドにて、聖者たちの手により病気の治療を目的としてアーユルヴェーダが掲示される。
・1900年代前半
イギリス統治下になり一時は衰退するも、独立後は伝統医学として復活
・1980年代前半
アーユルヴェーダの医師らが現代につながる形に定義付けや再編成を行う
インド社会では、西洋医学とアーユルヴェーダが共存しており症状や緊急性などにより使い分ける文化が定着しています。
インド政府には、インド中央政府厚生省に属しているアーユルヴェーダやヨガを専門とするアユシュ(AYUSH)省庁が2014年にモディ政権発足後に設置されています。
“予防と治療で活用できる比類なき伝統医学の遺産”とキャッチコピーを掲げ、アーユルヴェーダ文化を国を挙げて後世に伝えていくとともに、スパや瞑想などを通じたウェルネス治療を「医療観光」として促進したい背景があります。
アユシュ省発足の翌年となる2015年、モディ首相が提唱し「国際ヨガの日」が国連に正式認定されたことや、2020年には新型コロナに負けない免疫力アップを目的としてヨガ・エクササイズのデモンストレーションを世界に発信するなど精力的に活動をしています。
現在国内には150超のアーユルヴェーダに関連する医科大学や大学院が設置されています。
日本におけるアーユルヴェーダ
アーユルヴェーダは仏教伝来と同時に仏教医学として紀元前6世紀頃に伝わっていたとされています。
日本アーユルヴェーダ協会 によると、日本でアーユルヴェーダが認知されるようになったのは1970年代のこと。
日本の医学部の教授らがインドを訪問し、今日のアーユルヴェーダ普及の礎を築きます。
その後東洋医学と西洋医学の統合した診療体系がスタート、インドの大学と提携したプログラムが開始されるなど今日の普及へとつながっていきます。
専門的であったアーユルヴェーダですが、2001年、インド・グジャラートアーユルヴェーダ大学提携により日本アーユルヴェーダスクールが開校したことで一般の人々に門戸が開かれるようになりました。
2011年の東日本大震災の被災地では、ライフラインが寸断されたことにより西洋医学がストップしてしまう場面がありましたが、アーユルヴェーダ、ヨガ、はりきゅうやアロママッサージ、音楽療法などが大いに活躍します。
人々の心身の健康に大きく貢献したことから、セルフケアや予防医学などの重要性が高まり、アーユルヴェーダも人々に認知されていくこととなりました。
現代人がアーユルヴェーダを取り入れるべきメリットとは
現代社会は、病院にかかれば西洋医学を中心として病気や不調の治療や治癒が行われることがほとんどです。
しかしなんとなく感じる不調や「病院にかかるほどではない体調不良」など解決できない心身の問題を抱える現代人は実に多いのです。
毎日同じルーティンを繰り返すことのできる機械とは違い、わたしたちの心身は日々変化しています。
ストレスに支配されていたり、大量にあふれる情報に日々触れていると、自分の内なる声に耳を傾けることをおざなりにしてしまいがち。
ここからはなぜ現代人がアーユルヴェーダを取り入れるべきかを紹介します。
アーユルヴェーダのメリットや健康・美容効果の根拠とは?
アーユルヴェーダを取り入れることにより、健康面では病気の予防や長寿・メンタルケア・免疫力アップに、美容面では臓器のデトックスを通じた美肌、美髪、ダイエット効果のメリットが知られています。
しかし、「とは言っても、あくまで民間療法の範囲で認められているもので大した効果はない」とあなどっていませんか?
冒頭でも触れた通り、「西洋医学と伝統医学の融合」である統合医療のひとつとしてアーユルヴェーダは近年その健康効果が国際的に見直されています。
近代医学を基礎として、伝統医学などを組み合わせて活用することでQOLを向上させることが狙いです。
そもそも統合医療とは、「従来の医学と、安全性と有効性について質の高いエビデンスが得られている相補(補完)・代替療法とを統合した療法」と定義され、
アーユルヴェーダなどの相補(補完)・代替療法については、「一般的に従来の通常医療と見なされていない、さまざまな医学・ヘルスケアシステム、施術、生成物質など」とされています。
国立補完統合衛生センター[米国] では具体的には以下3つの分類とされています。
- 天然物(Natural Products) ハーブなど
- 心身療法(Mind and Body Practices)ヨガや瞑想など
- そのほかの補完療法(Other Complementary Health Approaches)アーユルヴェーダ医学など
先進医療は西洋医学、病気の予防、健康維持には伝統医学を活用するなど両者は共存するものであり、対立構造ではないことが特徴です。
アーユルヴェーダの基礎知識を知ろう
インド医学であるアーユルヴェーダを理解するためには、宇宙や自然と密接な関係がある健康の概念や理論を知る必要があります。
ここでは基本的な考え方を身に付けていきましょう。
アーユルヴェーダの5大元素とは
五大元素とは、「空、風、火、水、地」の5つのことを言い、この世に存在する万物を構成しているもののことであるとアーユルヴェーダでは定義されます。
その背景として、ビックバンが生じたことより空が誕生、強い風が起こったことで風が、風に起因する摩擦で生まれた火、重力で水が、暗さにより地が創造されたとする宇宙理論があります。
自然から得たエネルギーから水や食物を頂き、排泄物は土に環る。その土からまた作物や動物たちのエネルギーとなる……
「人間は自然に生かされている」という言葉があるように、自然と人間の間は互いにエネルギーを交換し合っていることを、アーユルヴェーダでは宇宙と人間の間においてエネルギー交換が行っている、と解釈するのです。
人間の感覚器官「聴覚、触覚、視覚、味覚、嗅覚」も5つであることから、5大元素と深く結ぶつくものとされています。
また5大元素は、独立しているのではなく互いが密接に連携しており調和する存在です。
そのためどれか一つでも欠けたり、バランスが崩れてしまうと影響が及ぶことを押さえておきましょう。
アーユルヴェーダのドーシャとは
ドーシャ(Dosha)とは、直訳すると不純物や病素となりサンスクリット語でエネルギーを意味する言葉です。
ドーシャは5大元素の組み合わせから構成されている3種類の体内エネルギーのことで、3を意味する「トリ」という言葉を合わせて「トリ・ドーシャ」と呼ばれます。
トリ・ドーシャを適切なバランスで保つと健康的に、幸せに生きることができるとされています。
アーユルヴェーダの体質理論・体質判断としてよく用いられるものです。
具体的なトリ・ドーシャは空と風からなる「ヴァータ」、火と水からなる「ピッタ」、水と地からなる「カパ」。
五大要素との関連は以下のようになります。
- 運動性のエネルギー ヴァータ 5大元素の空、風
- 消化のエネルギー ピッタ 5大元素の火、水
- 結合のエネルギー カパ 5大元素の地、水
トリ・ドーシャの体内バランスは個人差があり、条件によってもそれぞれ異なります。
ドーシャのバランスが崩れることは、心身の不調につながることを意味しています。
ドーシャのバランスを崩す要因として挙げることができるものは、以下の通りです。
ドーシャのバランスを崩す要因
- 24時間の中で各ドーシャが強くなる時間帯がある(朝(6時~10時頃)はカパ、昼(10時~14時頃)はピッタ、午後(14時~18時頃)はヴァータが優勢になり、残りの12時間も同様の順番で優勢となるドーシャが入れ替わる)
- 四季により強まるドーシャがある(春はカパ、夏はヴァータ、秋はピッタ、冬はカッパ悪化しやすい傾向に、雨期はヴァータ・ピッタが悪化しやすい傾向がある)
- 年代により強まるドーシャがある(若年期はカパ、青壮年期はピッタ、老年期はヴァータが増大する傾向がある)
- 住む土地の気候条件に影響されるもの
- 宇宙(天体)の影響
あなたはどのドーシャ?体質チェック
アーユルヴェーダの体験会などでよく行われる「体質診断」は、ドーシャのどの性質・傾向を多く持つかをチェックするものです。
アーユルヴェーダの体質診断は「プラクリティ診断」と呼ばれ、専門の医師が問診や脈診、視診を実施することによって判断されます。
本来は知見を持った専門家が行うものであり、詳細な問診などは専門機関へご相談下さい。
あくまで記事内で紹介する方法は大まかなセルフチェックとして参考にしていただければと思います。
ヴァータ体質の特徴
風のエネルギーを持つヴァータ体質。
風から連想できるように、移動性、冷性、軽性、乾性などの性質を持ち合わせ、五大元素は空と風です。
見た目:やせ形で骨格が細い、肩幅や腰が細い、身長は高身長か低身長、皮膚が乾燥しがちで静脈が浮き出ている、指は長く指は長め
身体的不調:冷え性、ガスが溜まりやすく便秘がち、メンタルに左右されやすい、疲労による頭痛、肌や髪の乾燥、不眠、神経系、大腸や腎臓が弱い、体力がない、季節の変わり目に弱い、自律神経が乱れやすい
性格:社交的でとにかく動き回りたい、心配性、創造性や感性が豊か、フットワークが軽いが飽きっぽい
→健康・美容のためのおすすめアクション
1 消化が悪くなる行動を避けるようにする。
食欲がないタイプのため間食など食事の回数を増やす人も多いが、実は毒素が溜まりあまり良くない。
基本は1日3食で消化の良いお米や野菜を中心とし、しっかり栄養素を取ることを心がけ消化器官への負担を減らすこと。熱を通し水分の多いスープや生姜やシナモンなどのスパイスを適量取り入れることも実践したい。
氷が入ったドリンクや生のフルーツや野菜など体を冷やす食べ物は真夏も控えるとより良い。
また消化効率を上げるため軽い筋力トレーニングを実践する。
2 睡眠の質を上げる
先に述べたように眠りが浅く不眠の傾向が強いため、湯船にゆっくり浸かる、寝る前のスマートフォンやPCの利用は控えストレッチやヨガを行うなどの生活習慣を心がけると良い。また体力回復のため、8時間程度睡眠時間を確保したい。
ピッタ体質の特徴
燃え盛る火のエネルギーを持つピッタ体質。
炎の勢いからイメージされるように、熱性、流動性、油性などの性質を持ち、五大元素は火と水です。
見た目:中肉中背でがっちりとした筋肉質、スタイルが良い、油性肌で汗っかき、ほくろやそばかすが多め、日焼けしやすい、細く柔らかい髪
身体的不調:敏感肌、肌の赤みや吹き出物が出やすい、暑さや強い光に弱い、眼精疲労や視力低下、白髪や薄毛、下痢、胃や皮膚、心臓や肝臓の疾患
- 性格:集中力・行動力が共に高く情熱的、効率主義、正義感が強い、周囲からの信頼が厚くリーダー向き、しっかりと自己主張をするが沸点が高い、負けず嫌い、物事をやり遂げる力がある、完璧主義
→健康・美容のためのおすすめアクション
1 腹八分目を心がける。
食べることが好きな人が多く、ついつい美味しいものを多く食べてしまいがちな傾向が。消化力は高いが胸やけや胃もたれなど消化器疾患をおこしやすい性質を持つため腹八分目でセーブすると良い。
油が多い料理や辛いもの、カフェイン、アルコールは「火」のエネルギーが毒素となってしまうため控えめに。補助として苦味・甘味のあるキャベツ・ブロッコリー・かぼちゃ・リンゴ・柿などの野菜や果物を多めに取り入れることがポイント。
肉や加工肉などは摂取量を減らす一方豆、鶏肉、卵などを増やすことで不調が減る傾向にある。
2 目に負担をかけないようにする
目や頭まわりのトラブルは、頭に火のエネルギーが溜まりすぎることにある。長時間のPCやスマートフォン利用を避けることが得策であるが、仕事上の使用などやむを得ない場合は定期的に休憩する時間をつくること、目を冷やすことを取り入れたい。
カパ体質の特徴
命の源と言える水のエネルギーを持つカパ体質。
柔性、冷性、停滞性などの性質を持ち合わせ、五大元素は水と地です。
- 見た目:骨太でふくよか、体格が良い、色白で湿り気のある肌、歯が大きい、静脈が見えにくい、髪は真っ黒で量が多め、厚みがある手
- 身体的不調:肥満、むくみやすい、湿気や寒さに弱い、耳鼻科系や糖尿病のトラブルを抱えやすい、眠気が強い
- 性格:マイペース、穏やかで思いやりがある、平和主義、安定を好む、刺激や変化は苦手、人見知り、インドア、自制心が強い、保守的で執着が強い
→健康・美容のためのおすすめアクション
1 太りやすいので脂肪をためないようにする
脂肪となりやすい乳製品や脂っこい料理など脂質を控え、消化が良いお昼の時間帯に摂取すると良い。温野菜サラダや豆を食事に取り入れることで代謝を活性化させることがおすすめ。また外に出ることがおっくうになりがちなので意識的に散歩など軽めの運動や、本来持つ体力を生かしジム通いを習慣化するなど脂肪をためないように心がける。
2 冷えと水分過多に注意!
水の性質を持つカパは冷えが生じやすいため、白い砂糖、小麦を減らし生姜など体を温める食材を積極的に取るなどして冷えを防止することで改善が期待できる。
また塩分を減らし水はけを良くするはと麦茶、黒豆茶などを取り入れるとむくみ改善に!
番外編
3タイプのドーシャを紹介しましたが、混合タイプも存在します。
1つのドーシャのみが優勢な人もいれば、2つのドーシャが同じくらい優勢な人も存在すると言うことです。
厳密には、誰しもが3つのタイプの性質を持ち合わせており、あくまで生まれ持った性質がどのタイプが強いかを簡易チェックでは知ることが目的とされます。
もし簡易チェックを行いどれか2つに同じくらい当てはまる場合は、無理に一つに絞るのではなく「自分はどちらの性質も合わせ持っているのだ」と認識すると良いでしょう。
どのタイプにも共通する事項があるかどうか、今の自分はどちらのタイプのドーシャが強く出ているかなどを意識してみることで適切なアプローチを選択してください。
アーユルヴェーダのグナとは
ヨガジャーナルオンライン によると、グナとは以下のように定義されています。
「徳」または「質」などの意。本質(プラクリティ)の3つの構成要素であるタマス(暗質/暗さ、不活発、物質の性質)、ラジャス(激質/エネルギー、行動、変化、動きの性質)、サットヴァ(純質/調和、バランス、喜び、知の性質)のこと。
体質を知るためのドーシャに対して、バランスを取ることに役立つ「相反する質の組み合わせ」がグナです。
グナは、具体的には10組20種類に分類されるものです。
グナ 10組20種類の性質
- 遅い⇔速い
- 冷たい⇔熱い
- 油っぽい・すべすべ⇔乾燥
- 滑らか⇔粗い
- 固体⇔液体
- 軟らかい⇔硬い
- 静か・不動⇔動く
- 小さい・微細⇔大きい・粗大
- 濁り・粘⇔純粋・不粘
それぞれの組み合わせにおいて天秤をイメージしてみましょう。
左右どちらのはかりも同じ重さで均衡が保たれている状態が理想的ですが、偏りが生じたときに対処することが日々の生活バランスを整えることにつながります。
急激な体重の増減が不健康であるように、自然なペースで不足しているグナを増やすこと(増えすぎたグナを減らすこと)を心がけることがポイントです。
アーユルヴェーダを実践してみよう
仕事や子育てに追われ、あっという間に1週間が過ぎてしまっている……
なんて人も多いですよね。
「自分の内なる声に耳を傾ける」ことは少しずつ実践すれば、だれでも無理せず心地よい範囲で習慣化することができます。
あなた自身に余裕が生まれれば、周囲の人のこともハッピーにすることができます。
ここではアーユルヴェーダライフを始めるためのヒントとなるアクションをお届けします。
朝型の生活をする
筆者自身、学校や仕事などに捉われずに生活していた幼少期は、夏は5時ごろに、冬は7時近くに起床していた記憶があります。
人間の体内リズムは元来季節の日の入りの時間帯によって起床時間が変化するものですが、学校や会社など人間社会において忘れ去ってしまわれているように思います。
日本でも「早起きは三文の徳」と言われるように、アーユルヴェーダにおいても早起きすることは大切にされています。
具体的には、日の出90分前を「ブラフマムフルタ」と呼び、ブラフマムフルタから日の出までの時間帯に起床し活動を始めると良いとされています。
しかし、実際に行動するとなると非現実的かもしれません。
朝の6時頃に起床することをひとつの目安にしてみましょう。
(6時~10時頃)はカパが優位なため体が重くなり、(4時~8時頃)はヴァータが優位になる時間帯のため目覚めが良いとされているからです。
始めは身体が慣れないかもしれませんが、習慣化して自分時間を充実させることが出来れば一日すっきりとした気持ちで過ごすことができますよ!
朝の白湯習慣
様々な健康・美容効果が期待される「朝一番の白湯習慣」。最近はペットボトル飲料としても販売されるようになりましたね。
ごま油でうがいをする
外出先から帰宅したタイミングでウイルスなどを除去するために行ううがい。
アーユルヴェーダでは、ごま油を使用したうがいの方法があります。
こちらも白湯と同様、朝の朝食前のタイミングで行うと夜間に溜まった毒素を排出することがきるので効果的です。
ごま油うがいのメリットは抗酸化作用による虫歯の予防・歯茎の強化、白髪対策、美肌、老廃物排出、潤いによる美声などが期待できます。
ごま油うがいのやり方
- 白ごま油または太白ごま油を用意する
- 大さじ1から3杯ほどを口に含み、数分から10分程度間そのままで過ごす
- ティッシュなどに吐き出し捨てた後、そのまま終了でも良いが気になる場合は水でゆすぐ
※正式なごま油うがいの方法はごま油を一度加熱し冷ましたものを使用しますが、簡易的な方法としてそのまま使用する方法を紹介しました。
平日の朝に行うことが難しい場合は、休日の朝に取り入れてみることから始めてみることをおすすめします。
ごま油でマッサージ
自分自身と向き合うセルフラブにも通ずるマッサージを自宅で行ってみましょう。
太白ごま油を用意すればご自宅で手軽に行うことができます。
ごま油マッサージの効果は、美肌、便秘改善、冷えによる体調不良改善など。
ごま油に含まれる抗酸化物質が肌を通して吸収されることにより、アンチエイジング効果、コレステロール値を安定させるなどのメリットも。
肌の表面が潤うことはもちろん、身体の内側から血液循環を促し、様々なデトックス効果が期待できるのです。
静かでリラックスできる場所で、空腹時の朝に行うとより効果的。
ごま油マッサージのやり方
- 太白ごま油を用意し、加熱処理を行って冷ましたものを使用することが望ましい
- 全身を行う場合は床にバスタオルなどを敷き、オイルを手のひらで温めてからスタート
- 頭、耳、首、肩、腕、手、胸、お腹、背中、腰、足、と「頭部→足先」へと流す
- 入浴または蒸しタオルでふき取る
※ごま油うがいと同様、加熱処理を行ったオイルを使用することがベストですが、そのまま利用する方法や、加熱処理済みのオイルも販売されています。
ヨガの太陽礼拝を行う
ヨガは、アーユルヴェーダの瞑想として行われるものですが、ストレッチなど運動面の要素も兼ね備えています。
本来人間が持つ筋力を回復させ、老廃物を排出することができるほか、ドーシャのバランスを整える=自律神経を整えることにもつながるのです。
日の出90分前の「ブラフマムフルタ」の時間帯に行うことが有効とされています。
詳しいヨガのポーズなどは以下の記事からご覧ください!
朝ヨガ始めるなら「毎朝5分」から!すぐ実践できるアーサナ5選&フロー3選
身体が固い人でも、ヨガには様々なポーズがあるのでまずは自分ができそうなものから楽しく取り組んでみてはいかがでしょうか。
入浴で心身を清める
アーユルヴェーダでは、「疲れをためない」ことを大切にしているため、一日の疲れをいやすバスタイムの入浴はとてもおすすめ。
良く知られている身体を温めることによる消化、デトックスなど循環を促進するなどの効果が入浴にはあります。
アーユルヴェーダの入浴ポイント
- 夜に溜まった毒素を排出するため朝に入浴を行う
- 入浴剤は食用に適する基準のナチュラルなものを使用する
アーユルヴェーダにおける入浴は、一日の心の疲れも「浄化」する神聖な場所として位置づけられているのです。
アーユルヴェーダに関するQ&A
この項目では、アーユルヴェーダ関連の疑問が多いトピックを3つ解説していきます。
「アーユルヴェーダは何だか怪しい」
「アーユルヴェーダを試してみたいけれど心配事がある」
そんなあなたのアーユルヴェーダライフの疑問を解消できれば幸いです。
ごま油を身体に塗る行為でアレルギー反応が出ることはある?
アーユルヴェーダのマッサージなどで良く用いられる太白胡麻油。アレルギー反応が心配な方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論としては、アレルギー反応が出る場合はあります。
大前提として、既にごま油アレルギーがあることが判明している場合の利用は避けましょう。
人によってはアレルギー反応が出ることもあるため、必ず初回にパッチテストを行い様子を見ます。アレルギー反応がある場合はココナッツオイルで代用すると良いです。
また通常時はごま油でアレルギー反応がない場合も体調不良時、飲酒時、生理時期、妊娠中などは悪影響が出やすいためマッサージ自体控えましょう。
アーユルヴェーダは男性が取り入れても良いの?
ヨガや美容マッサージなど、アーユルヴェーダには女性のイメージが先行する人も多いかもしれません。
アーユルヴェーダ自体には男性、女性などの区別は特になく、本来は医学として万人に向けたものです。
男性にも女性と同様に生まれ持った体質や性質があり、アーユルヴェーダを知ることのメリットは大きいです。
近年は男性のアンチエイジングや男性更年期などホルモンバランスに注目した市場も活性化していることからも、アーユルヴェーダは今後男性も積極的に取り入れる人が増えると予想できるのではないでしょうか。
アーユルヴェーダは日本人には合わない?
アーユルヴェーダはインド・スリランカ発祥のため、日本人に応用することが難しいと考えていませんか?
一言でイエス、ノーとするよりは「合う方法を取り入れることで日本人も充分にアーユルヴェーダメリットを発揮できる」と言えるでしょう。
古来インドで行われていた療法の中には、呪術なども存在していたため現代医学を知る私たちから見ると受け入れがたい部分はあるかもしれません。
インド・スリランカの長い歴史の中で彼らの体質・気候風土などに合った療法であることは間違いありません。
カレーなどに代表される日本人には馴染みの薄い香辛料、食材、ハーブ……
その全てを日本人の家庭にそっくりそのまま持ち込むことは合わないでしょうし、継続することも難しいですよね。
アーユルヴェーダのすべてを完璧に行うことが正解ではありません。
わたしたちの暮らしの中で取り入れやすい生活習慣を真似してみることや、体質診断を元に身体に悪影響を及ぼす行動を減らしてみるなど、実践の仕方は無限大のはず。
人種や固定概念にとらわれることなく、自分自身が心地よいと思えることを行うことが良いでしょう。
さいごに
10年前となる2013年時点で、アメリカではアーユルヴェーダを含む代替医療に注目が集まっていると報道されています。
医療費高騰で苦しむ米国、代替医療に注力 | 大和薬品株式会社 (daiwa-pharm.com)
によると、米国では代替医療関連の予算が年々増加傾向、人口の4割が代替医療を使用など医療費削減へ動いていることが分かります。
広く実施するためには臨床評価などをする必要性があるため、研究機関や大学が積極的に研究を推進している状況です。
インド政府も国を挙げてアーユルヴェーダを推進していると冒頭で触れましたが、共に人口を多く抱え、目覚ましい経済成長を遂げるインドと中国においては、西洋医学をになう施設や人材の不足から人口に対する医療体制が不足しています。
そこで統合医療を国を挙げて推進しているという実情もあるようです。
日本においても、アーユルヴェーダは人口減少の時代の予防医学・医療従事者の不足、災害時のリスクなどの懸念に対応する医学として活用が始まろうとしています。
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 の2022年の発表によると「産総研とインドAYUSH省官轄下の全インドアーユルヴェーダ研究所が、ストレスや老化、がんなどに効能があるとされている植物の研究を進め、科学的根拠を評価する」ことに合意するなど具体的な行動が進んでいます。
予防医学として国民がアーユルヴェーダなどの統合医療活用が進むことで、医療費の削減による財源を産婦人科などへ配分が可能となることや、新たな分野開拓による雇用の増加などの面からわたしたちの利益にもつながるのです。
ただ西洋医学と併用していくにあたって、伝統医学は有効性の検証や安全性の保障などを研究していく必要がある分野のため国や関連団体の設立、人材の創出、活動推進がさらに求められるステージでしょう。
日本でははりきゅう、整体、アロマテラピー、温泉療法などが広く知られている代替医療ですが、多くの人々がアーユルヴェーダを当たり前に生活に取り入れている日もそう遠くはないのかもしれません。
アーユルヴェーダの考え方を取り入れ、自分の心身と対話することを通じて、本来あなたが持つパワーを存分に発揮し本質的に幸せな日々を送るためのヒントにしてみませんか?