ヨガでは月がつくポーズがいくつかあります。
月のポーズ、三日月のポーズ、そして今回の半月のポーズ。
半月のポーズは他の月シリーズよりも、一気に難易度が高くなるポーズです。慣れているかたでも難しさを感じます。
まだヨガを始めたばかりのかたや慣れていないかたは、いきなりできると思わずにいつかできるといいな、こんなポーズもあるのだなと思っていただければ大丈夫です。
筆者はヨガインストラクター歴約6年ですが、自分が行っているクラスの中でこのポーズをやったのは数回です。いつもクラスに来ていて、ヨガに慣れていると判断できたかたにのみ行うようにしています。それくらい難しいポーズの1つです。私自身、インストラクターになりたてのころはキープできないポーズの1つでした。でも必ずできるようになるのです。
日常の中で絶対にとらない動きですが、いつもと違う動きをするからこそ新しい自分の可能性に気付けるかも。
1.半月のポーズとはこんなポーズ
まずはポーズのとりかたを見ていきましょう。
1.三角のポーズの完成形から始めます。左膝は緩め、つま先から30cmほど離れた場所に左手指先を置きます。右手は腰に添えておきます。
2.体の重心を左脚に移動させ、左手・左脚で床を押し、右脚をマットに対して平行になる位置まで上げます。かかとは押し出しましょう。
3.右手を上げ、胸を開きます。余裕があれば視線は右手指先方向を見ていきましょう。
半月のポーズができているか3つのチェックポイント
- 軸足の足裏全体がマットに付いているかどうか
- 上げている足のかかとを押し出せているかどうか
- 上げている足の力が抜けていないかどうか
日本語で半月のポーズと呼ばれていますが、サンスクリット語だとアルダ・チャンドラアーサナと呼ばれています。アルダが半分という意味、チャンドラが月という意味です。この2つのサンスクリット語はよく聞くかと思うので、覚えておいて損はないでしょう。英語ではhalf moon poseと呼ばれています。
このポーズは上級者向けクラスに出てくるものです。初心者~中級者向けではなかなか出てこないので、難しいと感じたかたもご安心ください。出てきたとしてもチャレンジしてみようといったポーズになるので、出来るところまで頑張れれば十分です。
こういったポーズは、体にはもちろんですが、今この瞬間に集中するため、余計なことを考える余裕がなくなり頭の中もスッキリすることができます。自分ができるポーズだけでなく、たまには負荷がかかる難しいポーズにチャレンジしてみることも大切です。
2.半月のポーズの効果・効能
こんなに難しいポーズだけれど、一体どんな効果が期待できるのか気になりますよね。効果が分かると更に練習したくなるかもしれません。
参考文献は、いちばんよくわかるYOGAポーズ全集・オムヨガRYT200養成コーステキストです。
2-1.脚の筋力強化
最近こんなに脚の筋力を使ったときはあっただろうかというくらい、脚の筋力を使うポーズの1つです。
軸足はもちろんですが、床と並行に上げている脚側もキープ時間が続くときついでしょう。
脚の筋力を鍛えるには、歩いたり走ったりすることも大切ですが、気候や天気によってそうもいかないときもありますし、できることなら動かずに強化できたら最高ですよね。
それを叶えてくれるのが、この半月のポーズ。脚の筋力がつくことによって、スッキリ美脚や将来ちょっとした段差につまづいたりしない強い下半身をキープすることができますよ。
2-2.ヒップアップ効果
このポーズで意外と使っている部分がお尻の筋肉です。
お尻の筋肉は大きく分けて3つ、大殿筋・中殿筋・小殿筋がありますが、このポーズをキープするには3つ全部を使っています。
ヒップアップのためのエクササイズは、地味できつい動きのものが多いと言われています。コツコツ頑張るのもいいけれど、たまには思いきりやりたい、新しいトレーニングをしたいかたにも半月のポーズはオススメ出来ますよ。
2-3.体幹強化
半月のポーズをキープする際に、体幹の中でも腹筋群をメインに使っています。もしポーズをとっている際に余裕があれば、自分のお腹まわりをさわってみてください。きっと硬くなっているはず。
腹筋を鍛えると言えば、仰向けで行うトレーニングやプランクポーズがよくあげられますが、こういった少し難しいヨガポーズでも鍛えることができます。
反対に、腹筋が弱いとこのポーズはなかなかキープしにくい、安定しないかもしれません。しかしヨガを続けてさえいれば、自然と腹筋も強くなっていきます。
筆者もこの記事を書く上で、久しぶりに半月のポーズを行いました。以前練習したときよりも、スッと完成形に入ることができ、このポーズへのハードルが下がっていました。
ヨガをやっているとこういった経験をすることが多々あるかと思いますが、他のポーズを練習していると自然と筋力がつき、直接練習していなかったポーズさえもできるようになります。諦めないことが大切です。
3.半月のポーズで陥りやすいこと
半月のポーズではどんなことに注意する必要があるのでしょうか?難易度が高いといっても、分解してみると見えてくることもありますよ。
3-1.倒れてしまう
まずはこれでしょう。脚を上げようとすると倒れそうになってしまうというかたは多いはず。
不安定なポーズなので、ケガをすることがないように、おうちならぶつかるもの壊してしまうものがないかどうか確認したうえで練習するようにしてください。
3-2.フラフラしてしまう
どうにか脚を上げられても、フラフラしてしまう、キープ出来ないという声もよく聞きます。一体どこに意識を向けたらいいのか分からないといった声も聞きます。特に筋力が少ない女性にとって、最初は大変かもしれません。
3-3.頭が下がってしまう
意識をする場所が多すぎて、自分の頭がどんな状態になっているのか気付いていない場合があります。頭の重さにつられて下がってしまうと、首に負担がかかりすぎてしまうため注意してください。
4.半月のポーズを完成するためのコツ
難しさばかり伝わってくる半月のポーズですが、完成形を目指すためのコツをおさえておけばできるようになるはず。こんなかっこいいポーズができたら素敵ですよね。ぜひコツを知ったうえで練習してみましょう。
4-1.軸足裏の親指付け根、かかと内側に体重を乗せる
ヨガで大切なことは土台です。とくに半月のポーズのようなバランス力も必要とするポーズでは、更に土台がポイントとなっていきます。
半月のポーズでは、軸足裏の親指側が浮きやすくなっていきます。こうなると重心が後ろにずれて、倒れやすくなったりふらついてしまう原因となります。
親指付け根、かかとの内側に意識を向け、足裏全体がマットに付いているかどうか確認していきましょう。これだけで安定感がぐっと高まるはずです。
4-2.かかとを押し出す
半月のポーズでは、軸足ではないほうの足裏は押し出すことがポイントです。
よく足先が伸びているかたもいますが、かかとを押し出す意識をしてみてください。このほうがバランスを保ちやすくなり、軸足も安定していきます。
どうしても意識が薄くなってしまう部分ではありますが、ぜひ練習する際はかかとを押し出すことも覚えておいてくださいね。
4-3.ブロックを使う
倒れちゃう、フラフラしちゃう、頭が下がってしまうといったかたにオススメしたいのが、プロップスの1つであるブロックを活用することです。
ブロックは、マットに置いている手の下にくる位置に置いておくことをオススメします。全然安定しないかたはブロックを縦に、あと少しというかたは横に置いて、高さを調整しながら使ってみてください。
ブロックを活用するだけで、今まで難しかったポーズができた!という感覚になるはず。ブロックはヨガをする上であって損はないものですので、ぜひ用意してみてくださいね。
4-4.軸足の膝を緩める
軸足の膝を緩めることでもポーズを軽減することができます。
慣れていないかたや、膝が過伸展気味のかたは、少し緩めることをオススメします。ただし膝を緩めることによって、頭が下がりやすくなってしまう可能性もあるため、頭が下がらないように両胸を正面に開く意識も同時に持ちながら練習してください。
5.半月のポーズで注意が必要なかた
半月のポーズを行うにあたって、やってはいけないときがあります。該当していないか確認しましょう。
5-1.首を痛めているかた
首を痛めている場合にはこのポーズはお休みしましょう。他のポーズで首が痛いときは視線を正面に向けていればOKといったものもありますが、このポーズではそれはせず、痛いときは休むほうが良いです。
5-2.頭痛があるとき
ヨガをすることで頭痛が緩和される場合もありますが、悪化してしまう場合もあります。特に半月のポーズでは悪化してしまう可能性があるため、頭痛がある日は練習しないようにしてくださいね。
5-3.低血圧なかた
低血圧のかたもお休みするようにしてください。心配なときなどは、まずはかかりつけのお医者さんに確認するなどしましょう。
これまで3つの月がつくポーズをご紹介しましたが、特に難しさを感じたのはこの半月のポーズではないでしょうか。ヨガにはこれ以外にもまだまだ難易度が高いポーズはたくさんあります。最初からできちゃうかたもいれば、なかなかできないかたもいます。周りと比べることはせず、いつかできるといいなと思いながら、日々ヨガに取り組んでみてください。続けていれば必ず出来るようになる日がきますよ。