
夜、ベッドに入ってもなかなか眠れない。スマートフォンの画面を見ながら時間だけが過ぎていく……そんな経験はありませんか?
忙しい毎日の中で交感神経が過剰に働き続け、自律神経のバランスが乱れてしまうと、夜になっても体が休息モードに切り替わらず、眠りが浅くなったり、入眠までに時間がかかったりすることがあります。
そこで今回は、眠りの質を高めるためのヨガと瞑想のルーティンをご紹介します。ヨガ初心者の方でもすぐに取り入れられる、やさしく実践的な内容です。どれも神経をやさしく鎮め、体と心をリラックスさせる工夫が詰まっています。
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眠れない夜は、体のせいかもしれない

私たちの体は、本来「日中は活動、夜は休息」というリズムを持っています。しかし、パソコンやスマホによる光刺激、仕事や人間関係のストレス、不規則な食事や運動不足などによって、交感神経が優位なまま夜を迎えることが増えています。
この状態では、筋肉も心も緊張しやすく、体は「戦闘モード」に近いまま。深い呼吸やリラックスを促す副交感神経が働きにくくなり、結果として眠りの質が下がってしまうのです。
実際、2020年に日本睡眠学会が発表した調査では、約6割の人が「眠りの質に満足していない」と答えており、その主な要因に”ストレス”と”生活習慣の乱れ”が挙げられています(日本睡眠学会「睡眠に関する全国調査」より)。
神経にやさしいヨガが、睡眠に効く理由
ヨガには筋肉をゆるめ、呼吸を整え、心を鎮める力があります。とくに「神経にストレスをかけない」ことを意識したやさしい動きやポジションは、寝る前の時間にぴったり。
強いストレッチや激しい動きを避け、自律神経が安心できるポジションや動きをベースにすることで、体が”守られている”と感じ、脳と神経がようやく休息を受け入れられるようになります。
アメリカ国立衛生研究所(NIH)によると、ヨガは睡眠の質を高める補完療法の一つとして評価されており、特に夜のルーティンに取り入れることでストレス緩和と自律神経の安定に寄与するとされています(NIH NCCIH『Yoga: What You Need To Know』より)。
眠る前のシンプルな3ステップルーティン
ステップ1:背中をゆるめる“ゆるいチャイルドポーズ”
両膝を広げてお尻をかかとに近づけ、上半身を前に倒して腕を前に伸ばします。力を抜き、深い呼吸に意識を向けましょう。腰と背中の緊張をほどき、副交感神経を優位にします。
ステップ2:仰向けで“安心のポジション”
仰向けで両膝を立て、両手をお腹の上に置きます。呼吸とともにお腹が上下するのを感じながら、「私はいま安全」という意識を持つだけで、神経は穏やかになります。
ステップ3:3分間のマインドフルネス瞑想
呼吸に意識を向けて「吸う」「吐く」の繰り返しをただ感じてみましょう。思考が浮かんでも大丈夫。ただ気づいて、また呼吸に戻ります。この“切り替え”のトレーニングが、眠りの質を上げる鍵になります。
習慣化のコツ:短くていいから、毎晩同じ時間に
ポイントは「完璧を目指さない」ことです。 たとえ1ポーズだけでも、3呼吸だけでも、毎晩同じように行うことで体と脳が「今から寝るんだ」と認識し、少しずつ自律神経が整っていきます。
また、照明を暗くしたり、アロマやお気に入りの音楽を使うこともおすすめです。
『Journal of Clinical Sleep Medicine』に掲載された研究では、毎晩同じ時間にリラックスできる習慣(ルーティン)を行うことが、睡眠の質を高め、入眠時間を短縮する効果があると報告されています。
実践する中で気づく、体と心の変化
はじめのうちは「これでいいのかな」と感じるかもしれません。でも、数日〜数週間続けてみると、眠る前の体や呼吸の感覚が少しずつ変わっていくのを感じるはずです。
「夜が静かに感じるようになった」「眠りが深くなった気がする」「朝の疲れが違う」……そんな実感が増えていったら、それは体と心がちゃんと休めている証拠。
あなた自身の感覚を信じて、少しずつ、自分に合った夜のルーティンを育ててみてください。