ただのあぐらではない!?合蹠のポーズのコツと注意点

私たちに慣れ親しんだ座り方である、あぐらの姿勢。合蹠のポーズはこのあぐら姿勢と似ているため、カンタンそうと思われることも多いです。

でも実際にやってみると、あれ?前屈ができない?!なんてこともよくあります。

筆者はインストラクター歴約6年です。合蹠のポーズはたくさん動いて、これから仰向けのポーズに移る前に入れることが多いですが、このポーズが何の問題もなくペタっとできる人、そうでない人と大きく分かれます。また面白いことに、このポーズがペタっとつくからといってすべてのポーズの柔軟性が高いというわけでもないのです。

一体なにが原因でこうなってしまいやすいのか、また合蹠のポーズの効果はどんなものが期待できるのか。知っているようで知らない部分を見ていきましょう。

1.合蹠のポーズとはこんなポーズ

まずはポーズの取り方から見ていきましょう。

1.マットの上であぐらになります。

2.足裏同士を合わせて、両手は足先をつかみましょう。

3.吸う息で背筋を伸ばし、吐く息で背筋を伸ばしたまま前屈をします。

4.足の付け根まわりが痛いけれど気持ち良いと思えるところでキープをして、呼吸を繰り返しましょう。

5.3~5呼吸ほどキープしたらゆっくり上体を戻します。

合蹠のポーズがとれているか3つのチェックポイント

  • 足裏同士が合わさっている
  • お尻がマットから浮いていない
  • 背筋を伸ばしたまま前屈できている

以上3点が出来ているかどうか、ぜひチェックしてみてくださいね。

 

合蹠のポーズはサンスクリット語では、バタコナーサナと呼ばれています。英語では、バウンドアンクルポーズと言います。インストラクターは合蹠のポーズかバタコナーサナと呼ぶことが多いです。レッスン後半、シャバーサナに入る前の体をクールダウンするタイミングで出てくることが多いポーズです。また骨盤調整ヨガなどのクラスでも出てくる頻度が高いポーズと言えるでしょう。

 

2.合蹠のポーズの効果・効能

合蹠のポーズを行うと、股関節まわりの伸びを感じるかと思います。この部分へのアプローチももちろんですが、他にも様々な効果が期待できるポーズなのですよ。一体どんな効果・効能が期待できるのか見ていきましょう。

参考文献は、いちばんよくわかるYOGAポーズ全集・オムヨガRYT200養成コーステキストです。

2-1.股関節の柔軟性アップ

まず期待できることといえば、股関節の柔軟性アップです。

股関節は上半身と下半身を繋ぐ大切な関節です。コロナ禍で動くことが減り、股関節の詰まりや違和感を抱える人が増えたためか、股関節への関心が高まっています。

股関節が凝り固まってくると、疲れが抜けにくい、溜まりやすいといったことも起きます。

できる限り柔らかくしておきたい部分と言えるでしょう。

筆者自身、実はこのポーズがあまり得意ではありません。前屈を深めることがあまりできませんが、レッスンを始める前のウォームアップとしてこのポーズを入れるようにしています。

そうすると、ウォームアップでは全然できていなかったのにも関わらず、レッスン内だと前屈が深まっているといった変化を味わうことができます。

体はちょっとしたことの積み重ねで変化していくことを体感しています。

2-2.内もも、鼠径部、膝のストレッチ

ふだんなかなか伸ばせていない部位を伸ばすことができるのも、このポーズの魅力の1つと言えるでしょう。人によっては足裏同士を合わせるだけで、心地よく伸びを感じるかたもいるかもしれません。

仕事で移動が多かった、冷房で脚が冷えてむくんでしまっているなんてときには、合蹠のポーズでストレッチをしてあげると良いですよ。

筆者は在宅での仕事がメインです。ヨガレッスンを行っている時間もありますが、他は基本座ったままパソコン作業となります。今の季節、クーラーをつけた部屋の中で長い時間座っているため、脚がむくみやすくなります。そのときは朝起きたときにベッドの上で、夜お風呂入った後にストレッチの1つとして合蹠のポーズを取り入れています。気持ちよく伸びて気持ち良いですよ。

2-3.腰痛緩和

下半身の筋肉へアプローチしていく合蹠のポーズは、骨盤まわりの筋肉も刺激することができます。それによって血行促進され、腰痛緩和へと繋がっていきます。

座りっぱなしで腰が痛くなりやすい、特に夏は冷えて痛みが起きやすいなんてかたにはぜひチャレンジしてみてください。

2-4.仙腸関節痛の緩和

仙腸関節痛に悩んでいるかたにもオススメのポーズと言えます。

腰痛緩和の部分と被りますが、普段なかなか伸ばせない、ほぐせない、骨盤まわりの筋肉へ刺激が入り、血行が促進されていきます、それによって痛みが緩和されると言われています。

特に女性で冷え性などに悩むかたは、骨盤まわりも冷えていることが多いため、合蹠のポーズで血行を良くしてあげると良いですよ。

2-5.血行促進

合蹠のポーズで骨盤まわりの血行促進ができるイメージが出来たかと思います

血行が滞ってしまうと、むくみやすい、疲れやすい、疲労が溜まりやすいといった悪循環が生まれます。

生理痛が辛いかたや月経不調などに悩むかたにもこのポーズは習慣にしてほしいポーズの1つです。

ただし血行が促進されることは一時的なことになりますのでご注意ください。

 

2-3.4.5の効果に関しては、全員に該当するものではなく、そう感じるかたもいるものになります。

 

3.合蹠のポーズで陥りやすいこと

座って行うポーズのため、難易度は高くないですが、人によってはなぜかできないと陥りやすいポーズの1つです。一体どんな状態になりやすいのか知っていきましょう。

3-1.背中が丸まる

上半身の前屈を深めることばかりに意識が向いていると起きやすい状態です。

ヨガを行っていると、つい体が柔らかいと思われたいといった欲が出てきたり、前屈を深めることが良いと思いがちです。そうなると背中が丸まってしまいます。しかしこうなると、胸が広がらず呼吸が浅くなる原因となります。

3-2.膝が浮いてしまう

足裏同士を合わせると、もしくはあぐらの姿勢になると膝が浮いてしまうというかたは多いです。

股関節の柔軟性が高くないといった原因も考えられますが、そこに関連している、お尻や内ももの筋肉の硬さも考えられます。

これらをほぐす方法を5章にてご紹介しています。該当するかたはぜひやってみてくださいね。

3-3.足裏同士を合わせられない

膝が浮いてしまうかたと同様に、股関節やその周りの筋肉の硬さによって、足裏同士を合わすことができないパターンもあります。最初は合わせられるけれど、だんだんと離れてしまうということもあります。

この状態になってしまうかたも、ぜひ5章を確認して強ばった筋肉をほぐしてあげましょう。

3-4.骨盤が後ろに倒れてしまう

特に男性に多い傾向があります。男性はそもそも筋肉量が多いため、あぐらが苦手というかたがいます。

あぐらをしようにも後ろに倒れそうになってしまう、骨盤が後ろに倒れ背筋を伸ばせないことがあります。この場合も、最初から合蹠のポーズを完成させようと焦らず、まずは5章の準備から始めると変化を感じやすいでしょう。

 

4.合蹠のポーズを完成するためのコツ

ただ座って行うポーズなのに意外と奥深い・・・と感じているのではないでしょうか?特に3章で当てはまる状態になるかたは、コツを知ったうえで練習を重ねてみてください。体は正直です。やれば必ず変化します。一気に変わることはないですが、少しの変化を見逃さずにいきましょう。

4-1.背筋が伸びているところでキープする

背中が丸まってしまうかたは、丸まってしまう手前でキープしましょう。そうすると全然前屈ができていないと思うかもしれませんが、このポーズで大切なことは前屈を深めることではありません。股関節まわりに伸びを感じられていれば十分なのです。

背中が丸まってしまうかたは、浅めの前屈でも十分伸びを感じることができるでしょう。胸を開いたままポーズをキープするクセをつけてみましょう。

4-2.かかとを体から離す

膝が浮いてしまう、足裏同士を合わせにくいかたは、かかとを自分から離してみましょう。そうすることで合蹠のポーズができるようになったというかたは多いです。

反対に股関節まわりに全然刺激を感じないというかたは、かかとを自分側に近づけてみてください。

4-3.ブロック・ブランケットを活用する

骨盤が後ろに倒れてしまう、あぐら姿勢が辛いかたは、お尻の下にブロックやブランケットをしいてみましょう

少し高さが出るだけで、座りやすさが格段にアップしますし、背筋も伸ばしやすくなります。ただ高さが出るので、前屈は深めにくくなりますが、今は気にする必要はありません。

また膝が高く上がってしまうかたは、膝の下にブロック・ブランケットを置いて隙間を埋めてみてください。たったそれだけのことでポーズの安定感が変わります。

こういった道具(プロップス)を使うことに抵抗を感じるかたもいるかもしれませんが、使ってみるとやみつきになっちゃいますよ。

 

5.合蹠のポーズをとるための3つの準備

4章にて、完成するためのコツをお伝えしてきましたが、合蹠のポーズを行う前にやることをオススメする準備を3つご紹介します。特にお尻や内ももが硬いかたにこそやってほしいです。

5-1.お尻をほぐす

股関節が硬いことの原因の1つに、お尻の筋肉の硬さが考えられます。

普段同じ姿勢が続くかた、座り時間や動くことが少ないかたは硬くなりやすいでしょう。お尻の筋肉が硬いままだと、合蹠のポーズがやりにくい以外にも、腰痛へと発展しやすくなると言われています。

お尻をほぐす方法をご紹介します。

1.仰向けになり、両膝を立てます。

2.右膝を上に左足のくるぶしを乗せ、左のつま先は立てておいてください。

3.右足をマットから離し、右ももの後ろで指を組みます。

4.吐く息で右ももを自分の胸のほうへ近づけましょう。そうすると、左のお尻まわりが伸びてくるはずです。あまり伸びを感じないかたは、左膝を自分から離す意識をもつと良いですよ。

5.3~5呼吸キープしたら解放し、反対側もやってみましょう。

5-2.股関節まわりをほぐす

そもそも股関節まわりがガチガチに固まっていると、合蹠のポーズはなかなか難しいかもしれません。

合蹠のポーズで股関節をほぐす前にこんなストレッチをやってみるのはいかがでしょうか?

1.両膝を立てて座ります。両手は上半身を支えられる場所に置きましょう。

2.両膝を左右にパタンと倒します。このとき、お尻がマットから浮きすぎないところまで倒せればOKです。カンタンな動きですが、硬くなりやすい股関節や骨盤まわりの筋肉をほぐすことができますよ。

5-3.仰向けで合蹠のポーズを行う

実はこの合蹠のポーズ、座った状態だけでなく、仰向けで行うことができるポーズなのです。

腸腰筋がしなやかに伸びることが期待できる練習方法。関節の動きが制限され動かしにくくなる、“拘縮状態”で硬くなっている場合、緩和させることが期待できますよ。

重力の力が加わるため、特に膝が浮きやすいかたはこの練習法もオススメですし、本来の柔軟性より伸びやすくなります。ただし長時間キープすることは避けてくださいね(長くても1分程度が理想)。

1.両膝を立てて、マットの上で仰向けになります。

2.足裏同士を合わせて、膝を左右に開きます。

3.痛いかたはかかとを下にずらし、刺激がないかたはかかとを上に移動させましょう。じわっと伸びている感覚を味わいながら、穏やかな呼吸を繰り返しましょう。

 

6.こんなかたは合蹠のポーズをとるときに注意が必要

合蹠のポーズをとる際に、注意が必要な場合もあります。座位のポーズだから少しくらい大丈夫・・・と思わずに、該当する場合は注意をしてくださいね。

6-1.股関節・膝・足首を痛めているかた

合蹠のポーズでとくにアプローチする部分のため、痛いかたは避けるかとは思いますが、少しでも違和感がある場合には無理をしないようにしましょう。ヨガは体にとって良いものですが、それはケガなどがない状態であることが前提です。

 

苦手なかたも意外と多いと言われている、合蹠のポーズ。暑い夏がきて、涼しい室内で過ごす時間も増えるでしょう。そうなると、今までは大丈夫だったのに股関節まわりが硬くなり、このポーズがやりにくくなったということもあるかもしれません。そんなときはぜひ1つ1つコツを抑えながら、強ばった筋肉を少しずつほぐしてみてくださいね。

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