椅子のポーズと名前だけ聞くと、座るような動作を行いそうなポーズだと連想しますね。
実は立位で行うポーズの中でも、特に下半身強化に特化したポーズの1つです。下半身への負荷がしっかりあるため、きつい!といった声が起きやすいです。
少しスッキリしたい、手っ取り早く下半身痩せをしたい、自分にストイックになりたい。そんなときにはぜひやってほしいポーズです。
筆者が行っているレッスンでも、特に運動量マックスのクラスではよく出てくるポーズです。割とよく出てくるポーズのため、知っているかたも多いのですし、動きもシンプルでやりやすさもあるのですが、辛そうな体制・体重の乗せ方が違う状態で練習をしているかたが多い印象です。
椅子のポーズをマスターするために、コツや注意点を一緒に知っていきましょう!
CONTENTS
1.椅子のポーズとはこんなポーズ
まずは椅子のポーズのとりかたを見ていきましょう。
1.マットの上でタダアーサナから始めます。
2.吸う息で両手を斜め上に上げ、吐く息でお尻を後ろにひきます。空気椅子に座るようなイメージでやってみてください。
3.つま先より膝が前に出ていないかを確認し、吐く息であと1つ重心を後ろにしていきましょう。
4.3~5呼吸ほどキープしたら、ゆっくりタダアーサナへ戻っていきます。
日本語では椅子のポーズと言われていますが、サンスクリット語ではウトゥカタアーサナと呼ばれています。どちらかで呼ばれることが多いポーズですので、両方知っておくと良いでしょう。英語ではチェアポーズと言われています。
下半身をメインに使うポーズなので、運動量が高いクラスで出てくることが多いポーズです。
太陽礼拝の中に入ってくることもあれば、このポーズをバランスポーズとして行う場合もあります。
難しい動きが少なく、誰にでも取り組みやすい立位のポーズと言えるでしょう。
2.椅子のポーズの効果・効能
誰にでも取り組みやすい椅子のポーズ。一体どんな効果が期待できるポーズなのでしょうか?効果や効能を知ったうえで練習することで、その部位を意識することができ、更なる効果が期待出来ます。
参考文献は、いちばんよくわかるYOGAポーズ全集・オムヨガRYT200養成コーステキストです。
2-1. 下半身強化
1番期待できる効果は下半身強化です。
やってみると下半身ばかりに集中している実感があったかと思います。ここまで下半身にのみ負荷がかかるポーズも珍しいかもしれません。
ヨガのポーズで、下半身の筋力があまりなく安定しない、ふらついてしまうといったかたには特に練習してほしいポーズです。
筆者は特にあまり動かなかった日や在宅が続いた日に、このポーズを練習するようにしています。少しキープするだけでも、下半身を刺激することができ、運動不足などの発散にもっていこいのポーズだと感じています。
2-2. 腹筋・背筋強化
このポーズをキープするとき、下半身のきつさばかりに意識が向いていますが実は上半身も絶妙な角度をキープしています。保つために使っている腹筋・背筋を強化しています。
私たちにとって姿勢を正しく保つため、スタイルキープのために、この筋肉たちは必須です。とは言っても地道なトレーニングは続かない、飽きちゃう。そんなかたには椅子のポーズで知らぬ間に鍛えているならそんな嬉しいことはないですよね。
2-3. 集中力アップ
バランスポーズ全体に言える効果ですが、一点に集中して安定を保つため、集中力アップが期待出来ます。私たちは日常生活の中で、約6万回考え事をするそうです。そのうちの約8割がマイナスなこと。本当に?と思うかたが多いでしょう。人間の脳は無意識の中でも常にフル回転状態が続いています。自分では今この瞬間に集中していると思っていても、実はそうではないときもあるのです。
しかし椅子のポーズをとっている間は、余計なことを考える余裕がないはず。
今この瞬間に意識を向け、頭の中も集中しているのです。このように意識的に集中する時間を作ることは頭の中で余計なことを考える隙を作らないため、現代人にとってときおり必要なことですね
筆者も頭の中であれこれ考えてしまうタイプです。それが良いように進むときもあれば、ネガティブの渦に巻き込まれてしまうときもあります。そんなときは一旦思考をストップ&リセットするために、ヨガを取り組みます。今この瞬間に意識を向ける。現代社会において、とても大切なことだと感じます。
3.椅子のポーズで陥りやすいこと
立位のポーズである、椅子のポーズ。陥りやすいことが何点かあります。一体どんなことが起きやすいのか、事前に知っていきましょう。
3-1. 膝が痛くなる
下半身に体重を乗せるため、負担がかかりやすく、痛みを感じる場合があります。特にこのポーズに慣れていない、初めてチャレンジするかたにとって、こういった状況になりやすいかもしれません。
特に膝を痛めているなどがない限り、あることを意識すれば、膝への負担を軽減できるため4章を合わせて確認してみてくださいね。
3-2. 肩に力が入る
立位のポーズだとありがちなことかもしれません。
頑張っている下半身につかれて、つい上半身も力んでしまうことがあります。肩が力んでいると、表情も険しく、呼吸も浅くなる・止まっていることが多くなっています。こうなると、余計に立位のポーズがきつくなってしまうし、ヨガの良さを体感しにくくなります。
3-3.グラついてしまう
両足裏がマットに根付いているため、バランス力が特に必要なポーズというわけではないですが、普段はしないような体制です。人によっては、どこにどう体重を預けていいか分からず、グラついてしまう・ふらついてしまうときがあるかもしれません。
4.椅子のポーズを完成するためのコツ
陥りやすい3点を見てきました。ではそれらを解消するためには、どういったことに意識をすると良いのでしょうか?椅子のポーズを完成するためのコツをご紹介。
4-1. 太ももの付け根を後ろに引く
膝が痛くなる原因の1つとして、お尻が後ろに引ききれていないことが挙げられます。そうは言っても横から自分のポーズを確認できる環境でない限り、なかなか難しいでしょう。
そんなときは、太ももの付け根を後ろに引く意識を持ってみてください。こうすることで重心が後ろにいき、膝に乗っていた体重が緩和されていきますし、ポーズとしての安定感も増してきます。胸も開かれて、呼吸が深めやすくなるため、下半身はきついかもしれませんが、呼吸が苦しいといったこともなくなるでしょう。
4-2. 腰を反らさないようにする
特に普段から反り腰気味のかたは注意が必要です。お尻を後ろに引くと、お腹の力が抜け、腰が反ってしまいやすいです。こうなると腹筋へのアプローチができていない状態になります。
おへそを背中側へ、ぐっと引き寄せるようにしてみましょう。こうすることで、腰の反りがなくなり真っすぐな状態になります。
4-3. まずは下半身のみ練習をしてみる
椅子のポーズで1番頑張っている部分は下半身です。力を抜こうとしても、上半身が力んでしまう場合は、下半身のみ練習をするようにしましょう。
下半身の感覚がつかめてきた、余裕がでてきたときに、上半身を付けてみることをオススメします。
4-4. 足裏全体に体重を乗せる
椅子のポーズはつま先がマットから離れるくらい、かかと側に体重が乗ります。
立位のポーズでは、基本的に足裏全体に体重を乗せることが重要なため、椅子のポーズは珍しい足裏の状態と言えるでしょう。
体重を乗せている面積が小さくなればなるほど、安定感がなくなっていきます。
グラついてしまうかたは、足裏全体に体重を乗せる意識から練習をしてみることをオススメします。
だんだんとポーズに慣れてきたら、重心をかかと側に移動してみると良いですよ。
5. 椅子のポーズで注意が必要なかた
椅子のポーズを練習するときに、注意が必要なかたもいます。ご自身が当てはまっていないか、確認をしたうえで練習を行ってくださいね。
5-1.膝を痛めているかた
膝に体重が乗るポーズです。膝を痛めているかたはこのポーズをお休みするようにしてください。
レッスンを受ける前に、インストラクターに自分の体調を聞かれることがあるかと思いますが、そのときに必ず伝えるようにしましょう。他の人がいる前で発言したくない場合には、事前に個別に伝えるなどの方法をとって、必ず伝えてくださいね。
5-2.貧血などふらつきがあるとき
椅子のポーズをとったときに、ふらっときてしまうと、お尻から転倒してしまう恐れがあります。ちょっとめまいがするだけだから・・・と侮ってはいけません。
少しでも違和感があるときは、ゆっくり休養しましょう。
馴染み深いポーズとも言える椅子のポーズですが、コツや陥りやすいことを知ったうえで練習すると、ポーズの安定感も変わってきているのではないでしょうか。運動量が高いクラスに出てくるポーズだと、テンポが良く1つ1つを丁寧に確認することが少ないです。自分なりのやり方を貫いてしまいやすいですが、時には立ち止まって、自分のポーズが正しいかどうか確認する機会を設けてみてくださいね。