ヨガの基本座位は何でしょう?と聞くと、スカアーサナと答えるかたがほとんどです。レッスンを始めようとすると自然と皆この姿勢になる様子をよく見かけます。
OMYOGAでは、スカアーサナを「はじまりのアーサナ」と呼んでいます。
筆者はヨガインストラクター歴約7年。2016年にOMYOGA恵比寿校にて、RYT200を取得。2022年にOMYOGAオリジナル中立を学びました。現在はオンラインを中心にレッスンを行っています。
私のクラスでも、呼吸を整える時間・ウォームアップなどはスカアーサナで行うことがほとんどです。ヨガと言えばこの座り姿勢というくらい馴染み深い姿勢ですよね。
しかし、当たり前に行う姿勢だからこそできないといけないもの、この姿勢がきつい=ヨガは無理と感じているかたも中にはいらっしゃるようです。
実際そんなことはありません。では、なぜスカアーサナがきついと感じてしまうのか、またこの姿勢にはどんな効果があるのか知っていきましょう。
1.スカアーサナとはこんなポーズ
まずはポーズの取り方を見ていきましょう。
1.マットの上であぐらの姿勢になります。
2.かかと同士がおへその延長線上に来るように置きましょう。
3.背筋を伸ばし、両手は膝の上に優しく置きます。
スカアーサナができているか3つのチェックポイント
- 背筋が伸びているかどうか
- 膝の高さが自然かどうか
- 座ってみて全身無理なくリラックスできているかどうか
サンスクリット語でスカアーサナと呼びます。日本語では安楽座と呼ぶことが多いです。英語だとeasy poseと呼ぶそうです。
ヨガレッスンでは100%出てくると言っても過言ではないくらい、最初にとるポーズです。呼吸を整える時間をこの姿勢で行うことはとても多いでしょう。
あぐらと同じなのでは?と思われがちですが、かかとを一直線につなぐ意識をすることで足首まわりの柔軟性が必要となります。ここがあぐらとは違う点です。
楽な姿勢と言われることも多いですが、それは人によって大きく異なるでしょう。スカアーサナをやってみてもきつい、背筋を伸ばしにくいと感じるようであれば、無理してこの姿勢でいる必要はありませんよ。
2.スカアーサナの効果・効能
ただ座っているだけに見えるスカアーサナ。一体どんな効果効能が期待できるのでしょうか?
参考文献は、OMYOGAテキストASANA1です。また、生理学的な効果は、人それぞれ異なります。このブログでは、筆者の経験をもとにした生理学的効果を書いています。
2-1.体幹の安定・自然なS字カーブの背骨姿勢作り(肉体的効果)
最初に期待できることは、体幹の安定・自然なS字カーブの背骨姿勢作りです。
スカアーサナで使われる主な筋肉は、腸腰筋・腹筋群・頸部屈筋群・大殿筋・脊柱起立筋群・頸部伸展群です。これらを使ってポーズをキープすることから、体幹の安定と正しい姿勢を作りやすくなります。
正しい姿勢を作りやすくなるということは、体の不調を感じにくくなるきっかけに繋がります。
デスクワークや座り時間が長いかたは、少しでもいい姿勢をキープする必要があります。しかし、キープするための筋肉が衰えているとだんだんと丸まってきてしまいます。猫背などの悪い姿勢が当たり前とならないためにも、スカアーサナで体幹を安定させることはとても重要です。
2-2.気持ちを落ち着かせる(生理学的効果)
ヨガレッスンではスカアーサナで呼吸を整えることがとても多いです。なぜならば気持ちを落ち着かせやすいためです。
スカアーサナはお尻全体がマットに根付いているため、土台が安定しやすいですね。土台が安定しやすい状態は気持ちも落ち着かせやすいのです。
またスカアーサナをすることでヨガのモードに切り替えられるといったこともあるでしょう。それまで少しバタバタしていたとしても、スカアーサナを取ることでスッと集中することができるのです。
2-3.集中力を高める(生理学的効果)
スカアーサナをとることで集中力を高めやすくしてくれる効果が期待できます。
ヨガでは自分の内側に意識を向ける必要があります。文字で見ると簡単そうな印象ですが、実際やろうとすると意外と難しいのです。私たちは普段自分のまわりのことばかりに意識が向きがちです。今日自分がどんな呼吸をしていたのかなんて意識している人はあまりいないでしょう。
スカアーサナになり瞼を閉じると、自分の体や呼吸の状態に意識を向けやすくなります。私たちにとってこの姿勢はあぐらと似ていることから、落ち着きやすいといったこともあるのでしょう。
集中したいのにできないとき、心がざわざわしているとき、一度スカアーサナをとってみるといいですよ。
3.スカアーサナで陥りやすいこと
英語ではeasy poseと呼ばれるスカアーサナですが、実は陥りやすいことがいくつかあります。
3-1.背中が丸まってしまう
ただ座っているだけに見えるこのポーズ。やってみると背中が丸まってしまうかたはとても多いです。背中の状態はなかなか自分で見えにくいため、インストラクターなどに背中の状態を指摘され気づく場合も多いかもしれませんね。
3-2.膝が上がってしまう
スカアーサナになったときに、膝が上がってしまう方がいます。この状態になってしまうかたはとても多いため、読んでいるかたでも当てはまるというかたもいるかもしれませんね。今までそれが当たり前と思っていたのに、インストラクターのスカアーサナとまるで違う、周りの人となにか違うと気づく場合もよくあります。
3-3.頭だけ前に出てしまう
現代人にとても多いですが、スカアーサナで正しい姿勢を意識したときに知らぬ間に頭が前に出てしまっていることがあります。この状態も正面から見ただけでは判断しにくく、気づいていないかたも多いかもしれません。
4. スカアーサナを完成するためのコツ
無意識にやっていたような陥りやすいことが多いスカアーサナ。さて、完成するためにはどうするといいのでしょうか?
4-1.お尻の下にプロップスを置く
まずやってほしいことは、プロップスを活用する方法です。持っていればヨガブロック、なければクッションやバスタオルで構いません。
スカアーサナの姿勢をとり、お尻の下に軽くプロップスを挟みましょう。こうすることで、丸まりやすい背中は伸ばしやすくなり、上がってしまう膝は自然と下に下ろしやすくなります。この練習方法は、スカアーサナがやりにくいと感じているかたはもちろん、そうでないかたにも時折やってほしいです。
姿勢が安定すると、体も気持ちも安定しますよね。
4-2.かかと同士を一直線上に置かず楽な位置に置く
スカアーサナではかかと同士を一直線上に置くのですが、こうすることによって膝が上がりやすくなったり、どこかに違和感や痛みがあるのであれば、楽な位置に置きましょう。
ヨガレッスンで最初にとる姿勢だからこそ、これでなくてはいけない、できて当たり前と思ってしまいやすいかもしれません。しかし、そんなことはありません。自分の体と心が心地いいと感じ、呼吸が深めやすい姿勢であればOKですので、スカアーサナがきついと感じるのであれば他の姿勢を探ってみましょう。
4-3.耳と肩の位置を確認する
頭が前に出てきてしまうかたは、普段からストレートネック傾向にあるかもしれません。頭が前に出てしまう癖がついていると、スカアーサナのときも頭が前に出やすくなります。
正しい頭のポジションを確認するには、耳と肩の位置です。耳の真下に肩があるかどうか、ぜひ確認してみましょう。自分でチェックするのは難しければ、写真を撮ってみたり、他の人に確認してもらって、頭が正しい位置にあるときの感覚をつかんでいきましょう。
5.こんなかたは注意が必要
スカアーサナにも注意をしたほうが良いかたがいます。当てはまる場合は、他の姿勢にするかヨガをお休みしましょう。
5-1.足首を痛めているかた
足首を痛めていると、スカアーサナのときに痛みを感じやすくなります。ケガなどをしたときはスカアーサナを避けるか、ヨガ自体お休みすることをオススメします。足首を使わない、上半身だけで行うポーズなどは良いかもしれませんね。
5-2.どこかに痛みや違和感があり集中できないかた
スカアーサナをとってみて、体のどこかしらに痛みや違和感がある、なかなか集中できない。きっとそんなときもあります。そういうときは無理をしないことも大切です。私たちの体と心は表面では変わらなくても、内面では様々な変化があります。できないときはゆっくり休憩することも大切です。
ヨガマットの上で自然とスカアーサナをとるかたも多いでしょう。それくらい、身近なポーズのひとつであるスカアーサナ。ただのあぐらかと思いきや、そうでもなかったと感じているかたも多いのではないでしょうか。
ヨガポーズにはなんとなくポーズをとるということはありません。すべてのポーズにきちんと効果効能があります。スカアーサナももちろんそのひとつ。今まではただの楽な座り姿勢だったかもしれませんが、少し意識してスカアーサナをとってみるのも良いですね。