パスチマ・ナマスカラというポーズ名は、馴染みがないかたが多いでしょう。このポーズは単独で練習するよりも、ほかのポーズと混ぜて練習することが多い傾向です。
胸の前で合掌をするのと同じかな?とやってみると、あれ…難しいできないということもあるかもしれません。
このパスチマ・ナマスカラは肩まわりが凝っているとなかなか完成しないのです。では、どんなことを意識するとパスチマ・ナマスカラを完成することができるのでしょうか?
CONTENTS
1.パスチマ・ナマスカラとはこんなポーズ
まずはポーズの取り方を見ていきましょう。
1.マットの上であぐらになります。
2.吸う息で背筋を伸ばし、両手を背中側に回します。
3.手のひら同士を合わせ、そのまま呼吸を繰り返しましょう。
パスチマ・ナマスカラができているか3つのチェックポイント
- 手のひら全体がついているかどうか
- 背筋が伸びているかどうか
- 手首が痛くないかどうか
サンスクリット語でパスチマ・ナマスカラと呼ばれていますが、日本語や英語での呼び方は特にないようです。サンスクリット語での呼び方を覚えておくといいでしょう。
このポーズがレッスンの中に出てくる頻度は高いとは言えません。これだけをやるというよりは、太陽礼拝のときにタダアーサナから肩をほぐすためにパスチマ・ナマスカラを入れる、パールシュヴォッタナアーサナを行うときにパスチマ・ナマスカラを取り入れるという形で出てくることが多いです。
ポーズ名を知っておく、事前にやり方を知っておくことでなんだこの手の動きは?という戸惑いが減ります。
筆者もレッスンの中で、特にパールシュヴォッタナアーサナと組み合わせてパスチマ・ナマスカラを取り入れます。慣れているかたはポーズ名を言えば自然とやっていますが、初めて聞く・練習するというかたもとても多いです。パスチマ・ナマスカラに意識が向きすぎてしまうと、本来やりたい立位のポーズがないがしろになってしまいやすいので、単独で練習をする時間はあっていいでしょう。
2.パスチマ・ナマスカラの効果・効能
さて、このパスチマ・ナマスカラには一体どんな効果効能が期待できるのでしょうか。
参考文献は、いちばんよくわかるYOGAポーズ全集・オムヨガRYT200養成コーステキストです。
2-1.肩こり緩和
まず期待できることは、肩こり緩和です。
パスチマ・ナマスカラをやってみると肩甲骨が背骨側へぐっと引き寄せられます。この動きが苦手というかたはとても多いでしょう。なぜならば猫背や巻き肩のとき、肩甲骨は外側に開きやすくなっています。パソコン作業をするときについ上半身が前のめりになってしまう、スマホを見るとき背中が丸まってしまうかたはぜひ練習してほしいポーズのひとつです。
筆者はヨガインストラクターなので体を動かす時間が長いですが、それでも肩まわりの硬さやコリを感じるときがあります。そんなときはサクッとできるこのポーズを用いることが多いです。ヨガマットを引かなくてもソファや椅子の上でもできるため、自宅以外でもやりやすいですよ。
2-2.肩まわりの柔軟性アップ
肩こり緩和はもちろんですが、肩まわりの柔軟性アップも期待できるのです。
最初からパスチマ・ナマスカラをスッとできるかたはもしかしたら少ないかもしれません。そのくらい両肩を引き寄せる動きが不得意なかたは多いです。
しかし、この引き寄せる動きが苦手だからといってやらずにいるとどんどん肩まわりが硬くなり、結果としてコリが悪化する一方です。普段の生活の中で、姿勢が悪いと感じるときが多い、肩を中央に引き寄せる動作が苦手というかたはぜひ練習するようにしてください。
肩を引き寄せる動作ができないことによって、取りにくいヨガポーズは色々とあります。例えばチャトランガダンダーサナも肩を中央に引き寄せられないと、変なところに負荷がかかって体を痛めてしまう可能性が出てきます。
いつでもどこでもやりやすいポーズなので、1日何回やると決めるより気付いたときに練習するほうが良いですよ。
2-3.二の腕引き締め
パスチマ・ナマスカラでは二の腕引き締め効果も期待できます。
二の腕が太くなってしまう原因の多くは、上腕三頭筋がたるんでしまうためです。上腕三頭筋は二の腕の下の部分で“振り袖腕”なんて呼ばれる部位です。
上腕三頭筋は脂肪がつきやすいにも関わらずなかなか脂肪が落ちにくかったり、老廃物がたまりやすい傾向にあります。
パスチマ・ナマスカラのように二の腕まわりを使って、溜まっている老廃物を流しやすくする効果が期待できます。ただ、ちょっとやったからといってすぐに効果が出るわけではありません。夏に間に合わせるには冬からコツコツ取り組む必要があります。二の腕を隠せる季節から練習するようにしてみましょう。
3.パスチマ・ナマスカラで陥りやすいこと
上半身に効果が期待できるパスチマ・ナマスカラですが、陥りやすいこともあります。一体どんなことに気を付けるといいのでしょうか。
3-1.手のひら同士を合わせられない
手を背中側に回してみると、手のひら同士を合わせられないというかたはとても多いです。
レッスンの中で練習をすると、最初からできるかたは全体の約2割程度です。それくらい意外と難しいポーズなので、できないからといって落ち込む必要は全くありませんよ。
3-2.手首が痛くなる
手のひら同士が合わせられないかたが多い中、無理やりでも合わせようとするとだんだん手首が痛くなる場合があります。これは練習すれば慣れるというものではありません。手のひらを合わせると手首が痛いのであれば、絶対無理して合わせないようにしましょう。
4. パスチマ・ナマスカラを完成するためのコツ
動作は少ないにも関わらず意外と難しいパスチマ・ナマスカラ。では、完成するためのコツを知って練習していきましょう。
4-1.肩まわりをほぐしてから練習する
肩まわりをあらかじめほぐしてから練習することをオススメします。
取り組んでほしいものをご紹介します。
- 両手を後ろに回し、指を組んで手のひら同士を合わせます。
- 手をマット側に下ろし、視線と胸は天井方向を見ましょう。肩甲骨を背骨側へ引き寄せる意識をもって中央に引き寄せる感覚をつかみます。
この動きで肩まわりをほぐしてからパスチマ・ナマスカラに取り組むと動かしやすくなります。
4-2.軽減法をとる
肩まわりをほぐしたとしてもすぐできる場合もあれば、難しい場合もあります。そのときは軽減法をとることをオススメします。
- 背中に腕を回し、手で肘をそれぞれ掴んでみましょう。こうするだけでも肩甲骨が背骨側へグッと引き寄せられます。
手のひら同士を合わせられない、手首が痛くなってしまう場合はこの軽減法をとることをオススメします。
4-3.プロップスを活用する
もうひとつオススメしたいのはプロップスを活用する方法です。手のひらを合わせる、肘をつかむのも少しきついと感じるかたや肩まわりがガチガチすぎるというかたに特にやってほしいです。
使いたいものはヨガベルトなければ長めのタオルです。
1.背中側に手を回し、それぞれの手でヨガベルトを持ちます。無理ない程度にヨガベルトを引き寄せ、肩甲骨を少しずつ中央に引き寄せていきましょう。
5.肩や手首を痛めているかたは注意
肩や手首に強めの刺激が入るポーズです。痛めている、やってみて違和感やきついと感じる場合はお休みするようにしてください。完成形を目指したくてつい無理をして手のひら同士を合わせるかたも多いですが、手首は痛めやすい部位です。手首を痛めるとダウンドッグなどにも支障が出るため、自分の体がどう感じているのか特に注意しながら練習するようにしてくださいね。
一見簡単そうに見えるうえ、あまり練習するタイミングがないため、つい頑張ってやってしまがちなパスチマ・ナマスカラ。まずは手のひら同士がきちんと合わせられているか確認をして、できているならそのままキープ。きつさや痛みを感じる場合は軽減法などを用いて練習することをオススメします。
肩こりに悩むかたや長時間デスクワークが続いて肩がきついかたは、ぜひパスチマ・ナマスカラを日常に取り入れてみてくださいね。