医師に聞くヨガの話 精神医学〜ヨガインストラクター力・人間力の底上げ〜

OMYOGAのRYT500のカリキュラムの1つとして入っているこの講座は、わかりにくい心の問題を少しでもとらえやすく、そしてヨガインストラクターができることを学ぶ、「医師に聞くヨガの話 精神医学」講座です。ヨガ指導者を問わず受講できます。

この医師に聞くヨガの話は、訪問診療専門の精神科医として就労​​する側、フレイルヨガ®をデイサービスや社会福祉法人等で提供​​している医師中野輝基先生が担当です。

Yoga Sutra的視点からこころの問題を診る

ヨガスートラの第一章の1にある
「Yoga citta vritti nirodhah」(ヨーガ・チッタ・ニロダハ)

これは、一般的に、
「ヨガとは心の揺れ(動き)を止滅させることである」
「yoga is the removing of the fluctuations of the mind.​​」
などと解釈されています。

この言葉、中野輝基先生が現代的に解釈をすると、
『ヨガを通じて、焦燥感が強く出ている気持ちを鎮める』ととらえることができ、ヨガが不安障害に対して有効なアプローチであると見ることができる、となります。

身近な精神疾患について

クラスでは、まず精神の疾患、こころの病について、その歴史から見ていきますバックグラウンドを知ることで、より疾患の理解を深めることができます。

中野輝基先生は、とっても落ち着いた、そして信頼できる話し方をされます。さらに、精神医学という難しいタイトルを順序立ててお話ししてくださるので、難しい内容ではありますがとても聴きやすい!

講座が進むにつれて、先生がいままでにご経験されたことのある、さまざまな症例をあげて話しをしてくれました。

精神的な症状を診断をするのはとても困難なこと、と先生はいいます。
「うつ」と一言で言っても、精神科医は様々な角度からその症状をみています。「不安症」もその一つである、と。そして、そもそも病名がつかないけれど、症状から見て病的という症状を持つ方もたくさんいる。

例えば、ヨガインストラクターが、生徒さんから不安症やうつがあると聞いたとき、どのような状態を想定しているでしょうか? 生徒さんが思う不安症やうつ、あるいはインストラクターが想像する不安症やうつとズレがあったりマッチしていないことがおこっている場合がよくあります。なので、まずはそれぞれの言葉の定義をしっかりと把握しておく必要があるようです。

治療法について

主観VS 客観の問題?

抑うつの治療法を見る前に、「まず薬が効く」とはどういうことなんだろう?
を考えてみる必要があります。

・食欲がでてきた

・笑顔がでてきた

・よく話しをするようになった

周りからみたら、薬の効果がでてきた!症状が治ってきた!と思う時があります。

でも実は本人は、「周りの元気な人を見るのがつらい・・・」など、周りからみてよくなっているようであっても、本人がそのように感じているとは限らないことがあるようです。

または、薬の効果はでているけれど、その分薬の副作用がでている、薬により喜怒哀楽がなくなった・・・ということもあります。
なので、満足感と薬の効果は必ずしも相関しないということなのです。

とはいえ、内服を急にやめるとどうなるか?

「離脱症候群」

内服を急にやめたことによって、心身ともに様々な不調を呈する状態になることをいいます。

ヨガインストラクターの中には、ナチュラル思考や、薬はよくない、と思う方もいるようで、そのようなヨガインストラクターからの生徒さんへのアドバイスは危険を伴うことがある、と先生はおっしゃいます。

Kosha modelから精神科的問題を見る

Koshaとは、3000年以上前に言及されていた人間のモデルで、人の体は5つの層で出来ているという教えです。
先生はこの講座の中で5つの層を以下のように話しています。

5つの層

ANAMAYA-Physical  肉体

PRANAMAYA-Energy エネルギー・生命力

MANOMAYA-Mind  マインド・心

VIJNAMAYA-Wisdom 意識

ANANDAMAYA-Bliss ウェルビーイング・健常

この人間のモデルは、多面的なモデルで、色々な側面が折り重なってできています。このヨガの考え方は実は現在の医学の中で言われる「フレイルモデル」にとりいれられています。これは、医学がようやくヨガに追いついてきたのかと思われます。

このKosha modelを用いて、うつや不安症を診たりすることができるようです。

ヨガクラスでの言葉がけに気をつけよう

うつの症状がある方には、悪気がない言葉で傷ついたり、攻撃されたと感じることがあります。

インストラクター「おかわりはありませんか?」
Aさん「はい、ありません。」
(ずっと苦しいです。つらいです。どうしてそんなこと聞くの?)

インストラクター「体調どうですか?」
Aさん「悪いです。」
(そんなこともわからないの?)

インストラクター「自分の心を見つめてみましょう。」
Aさん「・・・。」
(集中できない・・・。私は本当にダメ人間で・・・)

その他には、
「自分のの中のポジティブなイメージで、楽しいことを考えて・・」
「このポーズはエネルギーがわいてきます」
など。

ほんの些細で良かれと思ってかける言葉も、傷ついたり、攻撃されたと感じたりすることがあります。ある人にはうまくいった方法が、ほかの人に当てはまるとは限らないのです。

また、アジャストなどの修正を批判ととらえる可能性もあります。

安全を感じられる環境を最大限に考慮してレッスンをしましょう。

セルフコントロールについて


そもそも、セルフコントロールとはなんでしょう?

「裁量と自制」

個人に裁量が与えられない生活は寿命を縮めると、疫学調査からもわかっています。言い換えると、私たちは自分の状況を”ある程度調整”できると認識することで救われるのです。

自分の状況を自分でコントロールする余地がある(自分にはその力がある程度ある)ということを自分が理解し、そして生徒さんにも理解していってもらうように指導していくことが重要です。

そのような観点から、「Voluntary regulated respiratory breathing」を指導していきます。

自分で呼吸をコントロールする、特にゆっくりと「はきだす」ことで、心拍変動をあげていく。これがセルフコントロールとつながる。「ゆっくり吸ってゆっくり吐く。」この呼吸法(非薬物療法)こそが、扁桃体の活動(過剰な刺激)をおさえていく、botoom up approachだと先生はいいます。

この手法を用いて、ヨガクラス内で生徒さんを指導される際には、

1、安全への配慮を行う

2、深い呼吸への誘導

3、生徒さんの気づき

4、症状のセルフコントロール

このサイクルをぐるぐると回して行くことが大切です。そして、寄り添って継続していくことがとても大切だと先生おっしゃいます。

受講生の声

ご受講生様より

MTYの医師に聞くヨガの話シリーズは、是非皆に聞いて欲しい。ヨガを通して出来る心のケアについてもっともっと深めたいと思った

私はRYT500のカリキュラムの中の1つでこの講座を学びましたが、その中でも特にこの講座がよかったです!

コピーライターのベジ美さんより

「ヨガはうつに対して効果がある」とは言えない。
じゃあヨガって、医学的な効果はないの? 答えは、NO。

効果があるとは言えないというのは、特異的に効果があるとはいえない、
つまり他の運動療法と同じという意味です。(以下略)
全文はこちらから

こんな方におすすめします!

わたしはこのような方にこの講座を受けてもらいたいです。
↓   ↓  ↓

・心の病について、精神科医ドクターからきちんと聞いてみたい

・うつについて詳しく知りたい

・PTSD、トラウマについて知りた

・ヨガセラピーに興味がある

・心の病にヨガでできることとできないことをを明確に知りたい

・インストラクター力・人間力をさらに上げたい

今回お話しした講座について

ご紹介した講座は「医師に聞くヨガの話 精神医学」です。