何かと見聞きする機会が増えてきた「エシカル消費」と言うワード。
社会に良い行動であることはぼんやりと理解をしていても、具体的なエシカル消費例を挙げて説明をするとなると難しいと感じる人もまだまだ多いのではないでしょうか。
2020年に電通が実施した「エシカル消費 意識調査2020」によると、新型コロナの影響で、約3割がエシカル消費をより意識したというデータもあり、エシカル消費は近年注目が集まっていることが分かります。
この記事を読むと、エシカル消費の具体的な事例やエシカル消費の意義、また企業例までまるっと理解することが可能です。
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エシカル消費とは
エシカルな消費とは一体どのような消費行動のことを言うのでしょう。
意味や意義について解説します。
エシカル消費の意味
エシカルは直訳すると「倫理的な」という意味を持つ言葉で、多くの人が正しいと思うことや良心に伴う社会的規範を意味します。
エシカル協会ではエシカルの定義を「エいきょうをシっかりとカんがえル」と定義。
エシカルは組み合わせる名詞により、様々な意味を持つ言葉となり「エシカル消費」もそのひとつです。
具体的には人や社会、地域社会、地球へ配慮した消費やサービス、価値観のことをエシカル消費と言います。
エシカル消費が注目されるのはなぜ?
なぜ今エシカル消費が叫ばれているのでしょうか。
環境問題や貧困問題を含む社会問題の解決や、SDGsの達成に大きく貢献するとされているからです。
エシカル消費を実践することでSDGs17の目標のうち「目標12「つくる責任、つかう責任」に特に関わります。
例えば安すぎる衣類や様々な食品に利用されているパーム油など、どうやって作られたのか、きらびやかなディスプレイ広告や巧みなマーケティングの裏側はどうなっているのか考えたことはあるでしょうか。
私たちが毎日行う消費活動の中で、知らず知らずのうちに見えない誰かを傷つけてしまっている問題が多くあります。
エシカル消費を実践することが解決の糸口につながるのです。
エシカル消費の例
では、エシカル消費の実例をここから紹介していきましょう。
初めに、エシカル消費を理解する上で欠かせない3つの柱について紹介します。
エシカル消費の3分類
1 人や社会への配慮
・フェアトレード製品の購入
・寄付付き商品の購入
・障がい者支援につながる商品
2 環境への配慮
・グリーン購入や再生エネルギーの利用
・エコマークなど認証ラベル付き商品の購入
・オーガニック製品(農産物や綿)
・シェアリングサービスの利用
・国産材や間伐材
地域への配慮
・地産地消
・地元商店での買い物
・応援消費
エシカル消費の具体例
前章の3分類に沿って、エシカル消費の具体例を紹介します。
人や社会にまつわるエシカル消費の具体例
・フェアトレードで生産された衣服やアクセサリーを購入する
・売上の一部がNPOや何らかの社会貢献につながる寄付付きの商品を購入する
・障がい者の人々が制作するアイテムや飲食物を購入する
環境にまつわるエシカル消費の具体例
・オーガニックコットンや天然素材、またはリサイクル素材を使用した衣服を購入する
・元の役目を終え、新たな形へ生まれ変わったアップサイクル製品を購入する
・有機農産物やオーガニックメイドの商品を積極的に購入する
・シェアサイクル、シェアカーなど二酸化炭素削減につながるシェアリングサービスを利用する
・木材を使用した製品を購入するときには、国産材を使用した家具や、間伐材から作られた文具や猫用ペレットなどを選ぶ
地域にまつわるエシカル消費の具体例
・農産物直売所やスーパーの直売コーナー、地域の飲食店などで地域の食材を選び地産地消を行う
・いつもは大型ショッピングモールやインターネット通販で購入している物を地元商店で入手してみる
・被災地の特産品や何らかの理由で行き場を失ってしまった物を購入する
・昔ながらの伝統や技術を受け継いで作られた食器などの製品を購入する
エシカル消費に参考となる認証マークとは
エシカルな商品を選ぼうと思っても、初心者であれば何を指標にして購入すれば良いか迷ってしまうかもしれません。
そんなとき、エシカルであることを示す認証マークを知っておくと役立ちます。
第三者機関が認証を行っていることから、本当にエシカルな商品を見分ける指標となるのです。
認証マークの例
MSC認証
MSC認証とは、「海のエコラベル」とも呼ばれる水産物を対象とした認証マークです。
MSC「海のエコラベル」は、水産資源と環境に配慮し適切に管理された、持続可能な漁業で獲られた天然の水産物の証です。
世界で水揚げされている水産物の内およそ3分の1は、生態系の範囲を超えて獲られていると言われています。
加えて、世界人口が増加していることもあり人間と海洋生物の共存が必須となっているのです。
MSC認証がついている商品例には、魚の缶詰や加工品などがあります。
国際フェアトレード認証
国際フェアトレード認証ラベルは、その原料が生産されてから、輸出入、加工、製造工程を経て、販売できる製品となるまでの各工程で、国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)が定めた基準が守られている事を証明しています。
フェアトレードは、「公正かつ公平な貿易」と呼ばれるように開発途上国と貿易をする上で児童労働や人権問題を解決することを目的とした運動を指します。
例えば衣類や雑貨、チョコレートなどの製品に国際フェアトレード認証ラベルはついています。
RSPO認証
RSPO認証とは、持続可能なパーム油原料やその生産に貢献したことを示す認証マークです。
植物油と表記されることも多いパーム油は、安価に調達できることからボルネオ地方などの熱帯雨林において大規模なプランテーション農園で生産されています
しかし地元住民や生息する動植物を犠牲にした農法が問題となっていることから、持続可能なパーム油調達のためにRSPO認証は誕生しました。
RSPO認証がついている製品例は、食用油から洗剤や石けんなど、多岐にわたります。
RAINFOREST ALLIANCE認証
レインフォレスト・アライアンス(RAINFOREST ALLIANCE)認証は、製品(あるいは指定された成分)が、人自然がともに反映する世界を作ろうとする農業生産者、林業者、あるいは企業で作られたことを表しています。
引用:Home | Rainforest Alliance | 法人向け (rainforest-alliance.org)
マークにあしらわれているアカメアマガエルは、カエルの個体数が健全な環境の生物指標とされていることに由来したもの。
農園の環境、生物多様性、従事する労働者の権利を守ることに加え自立した農園経営を目指すものです。
バナナや紅茶、カカオなどがこのマークの対象となります。
企業のエシカル消費例
企業が行うエシカル消費には、どのような実例があるのでしょうか。
ここでは2つの企業実例をとり上げます。
セブンイレブンのエシカル消費例
セブンイレブンでは、「エシカルプロジェクト」と題し食品ロス削減に向けた取り組みを2020年5月から行っています。
食品ロスは、飲食店や家庭から出る他に食品の流通過程でも多く発生していることが問題となっており、企業として解決すべく本プロジェクトが発足。
実施内容は、販売期限が近くなった対象食品に緑色のシールを貼り、電子マネー「nanaco」で決済すれば5%分のnanacoポイントが付与されるものです。
開始から1か月では、前年比約20%(1店舗あたり)の食品ロス削減の成果を出しました。
エシカル消費の認知度アップやアクションを促すきっかけになることが期待されます。
また、2022年11月からは、四国エリアを対象に徳島県と共同で地元野菜を取り入れた商品の販売もスタート。
地産地消に加えて、グローバルGAP認証の野菜を摂取して生活習慣病対策につながる効果も狙った取り組みです。
※グローバルGAP認証とは
食品安全に加え,労働環境,環境保全に配慮した「持続的な生産活動」を実践する生産者に対し与えられる認証です。
パタゴニア
アウトドアブランドのパタゴニアは、サステナビリティに積極的に取り組む企業として知られています。
製品の素材にオーガニックコットンやリサイクルポリエステル素材を使用することや、従業員の労働環境の保護などに努めてきました。
多くの取り組みの中で特筆すべきは「Worn Wear(ウォーン・ウェア)」。
パタゴニアの製品を長く愛用するためのプラットフォームサービスで、ユーザに対し自社製品のお手入れや商品の素材・種類別に修理方法を詳細に紹介しています。
また実店舗などでは、「Worn Wear Surf Tour新品よりもずっといい」をテーマに掲げ、定期的にリペアイベントを開催しています。
イベントはパタゴニアの修理スタッフがラッシュガードなど海を楽しむアイテムを無料で修理(他社製品も持ち込み可能)する他、ミシンを使わない簡易的なリペアについてはセルフで体験ができる内容です。
個人で対応不可な範囲であれば、有料リペアサービスの利用も可能で循環型社会に根差したエシカル消費を実践することができます。
最近では株式を全て環境団体へ寄付すると発表したパタゴニアは、今後もエシカル消費トレンドの最前線にいる企業として注目です。
まとめ
エシカル消費の意味やなぜ必要とされているかなどの概要から、エシカル消費の具体例やエシカルにまつわるマーク、企業の取り組み例などを見てきました。
エシカル消費の例は身近なところからスタートができるので、日常のふとした瞬間に散りばめられているヒントを探してみてはいかがでしょうか。