フリーランスは会社員やアルバイトなどの雇用形態と違い、自ら税金を管理し納める必要があります。
「フリーランスは税金が高くて、きちんと納めることができるのかな」
「フリーランスが納めるべき税金の種類が知りたい」
などの疑問をお持ちではないでしょうか。
また、事前におおよその税金の額を把握できていないと、税金を納付するべきタイミングで資金不足に陥ってしまうこともあります。
筆者自身も数年フリーランスとして活動していますが、特に開業したての頃は税金の見通しが分からず困った経験があります。
「フリーランスの税金についてきちんと理解していれば良かった……」とこれからフリーランスになる人には後悔して欲しくないと強く思っています。
この記事を最後まで読むと、上記に挙げた不安を解消し安心して準備を進めることができます。
CONTENTS
フリーランスが納める税金の種類とは?
フリーランスになると、具体的にどのような税金がかかるのか紹介します。
上記の表に示されているように、税金の種類によって支払い義務が異なことを知っておくと便利です。
ここから、具体的な内容について触れていきます。
所得税
所得税とは、1年間の所得に対して課税され、国に支払うものです。
収入から経費を差し引いたものが所得となります。近年では確定申告を行うタイミングでネット算出される仕組みになっています。
所得と収入が明確となったら、収入からさらに「各種所得控除」を差し引いたものが最終的な所得税となります。
ここでは所得控除の対象となるものの例を一覧で紹介します。
- 基礎控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険控除
- 地震保険料控除
- 寄附金控除
- 障害者控除
- 寡婦(夫)・ひとり親控除
- 勤労学生控除
- ふるさと納税
- 青色申告特別控除
また、下記に示した例のように、所得控除の他「税額控除」とよばれるものもあります。
- 住宅ローン控除
- 外国税額控除
- 源泉徴収税額控除
- 災害減免額控除
- 配当控除
所得によって金額が変わる「累進課税」であることが特徴で、所得が大きくなるほど税率が上がることが特徴です。
詳しくは国税庁ホームページより確認することができます。
出典:所得税の税率|国税庁
また事業所得が48万円を超えたら確定申告を行う必要がありますが、48万円以下や赤字の場合は支払いが発生しません。
所得税の納付は、前年の1月1日から12月31日までの所得を翌年の2月16日〜3月15日までに行う必要があります。
確定申告の時期と同様のため、WEB上で確定申告を行うとそのまま納税手続きまで行うことも可能です。
住民税
住民税とは、年間の所得額に応じて金額が決定され住んでいる都道府県や市長区村に対して支払う税金です。
フリーランスの場合は確定申告後に各自治体より毎年5、6月に納付書が郵送で届き、毎年6月に一括納付もしくは4回に分けて分納のどちらかで支払います。
所得に関わらず自治体ごとに定められた「均等割」と所得に応じた額を負担する「所得割」の合計によって税額が決定します。
個人事業税
特定の70業種のみに対して、年間所得が290万円を超えた場合に事業所を置く都道府県に対して納める税金です。
業種に応じて税率が3〜5%の税率により課税額が決定するもので、毎年8月に一括納付もしくは2回に分けて納めましょう。
また、個人事業税は経費にすることができることが特徴です。
消費税
年間売上高が1,000万円を超えるときに支払い義務がある税金のことです。
売上が1,000万円以下の場合や、開業から2年以内の場合は対象外となります。ただし前年の1月1日から6月30日までの半年間にあたる「特定期間」に1,000万円を超える売り上げがある場合は課税事業者扱いとなり翌年に消費税の納税が必要となります。
またフリーランスの消費税納付時期は、原則3月末となっています。
2023年10月1日から導入が開始される「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」により、今まで免税事業者であった人も消費税を負担することになり、対応を検討する必要があります。
国民健康保険料
国民健康保険料とは、各自治体に納める保険料のことです。
料率は各自治体によって定められていることと、所得や家族構成により変わることが特徴です。
所得から全額控除として差し引くことができるため節税効果が期待できます。
加入した月から支払いが発生し、基本的には6月から翌年3月までの10回に分けて納付します。
国民年金
20歳から60歳になるまでの40年間にわたり納付義務がある税金のこと。
金額はすべての人に同一料金となっており、国民健康保険料と同様に全額控除の対象です。
納付時期については、毎月分を翌月末までに納めることとなっています。
フリーランスができる節税対策は?
社会保険料を会社と折半する会社員と比べて、フリーランスは税金のすべてが自己負担となるため税金の負担割合が多くなる傾向にあります。
そこで税負担を軽くするための節税方法を上手に取り入れると、支払う税金額を減らすことができます。
ここではフリーランスの節税対策を紹介します。
経費を計上する
経費を計上することは、節税方法の基本です。
しかし、どのようなものが経費の対象となるかを把握していないとおおよその各種税金を把握すること自体が難しくなってしまいます。
整理して見ていきましょう。
経費にできる支出・できない支出
フリーランスを始めたての頃、頭を悩ませやすいことのひとつに
「どの支出が経費として落とせるのか」ということがあります。
一言でいうと、事業の内容や売り上げに関わるかどうかが判断基準となっています。
以下で、経費になるものの例を紹介します。
- 通信費(Wi-Fiや業務のために必要な携帯電話など)
- 旅費、交通費(取材のための電車賃など)
- 水道光熱費(電気代、ガス代、水道代)
- 地代家賃(自宅兼事務所の家賃や駐車場)
- 消耗品費(パソコン、業務上必要な物品)
- 接待交際費(クライアントの飲食代や贈答品代)
- 新聞図書費(勉強のための書籍代など)
青色申告を利用する
青色申告とは、所得税を正しく納税するために行われる確定申告の方法のひとつで、所得から最大65万円が控除される「青色申告特別控除」がメリットとして知られています。
家族の給与を経費とできる点や、赤字を3年間繰り越せることなどのメリットもあります。
開業後2か月以内に「青色申告承認申請書」を税務署に提出することで申請が可能となります。
共済制度を利用する
共済を利用することで、掛け金の全額を所得控除もしくは必要経費とすることができます。
フリーランスが利用できる共済には大きく2種類あり、まずは毎月積み立てたお金を廃業前に受け取ることができる小規模企業共済があります。
次に取引先の破産時にフリーランス側の倒産を防ぐことが目的の経営セーフティ共済。
1か月あたり最大20万円まで掛けることができ、掛け金の10倍まで借入できるメリットもあります。
フリーランスの税金に関するQ&A
フリーランスの税金にまつわる疑問点を紹介します。
赤字の場合税金はかからない?
税額の判断基準となる所得がゼロとなるため、所得税と住民税が非課税となり、住民税・国民健康保険料などは最低金額となります。
赤字である場合も、確定申告を行うことで保険料を抑えるメリットや青色申告に適応される赤字を繰り越せるなどの恩恵が受けられないこともあるので注意しましょう。
さいごに
フリーランスにかかる税金について解説しました。
どんな税金が、どのタイミングで納める必要があるかなどの全体像をつかんでおくことがフリーランスをスタートするときには大変重要となります。
具体的な種類や節税方法を知ることにより税金が高そう、と言った漠然とした不安を解消することができたのではないでしょうか。