

ヨガがもっと好きになってきた。
ポーズをするだけじゃなく、“ヨガを“教えたい”“深く学びたい”と思ったときに出てくる言葉――ヨガ資格の「RYT200」。
聞いたことはあるけれど、「どんな資格なの?」「取る意味はある?」「どのスクールを選べばいい?」と、わからないことも多いですよね。
この記事では、RYT200の基本から、取得までの流れ、費用、スクールの選び方、そして取得後にどんな道があるのかまで、やさしく丁寧にまとめました。
ヨガを“ただの趣味”から“自分の軸”にしたい人へ。
最初の一歩が安心して踏み出せるように、あなたのペースで読んでください。
CONTENTS
RYT200とは?

RYT200とは「Registered Yoga Teacher 200時間」の略で、世界最大のヨガ団体「Yoga Alliance(ヨガアライアンス)」が認定しているヨガ指導者資格です。
ヨガアライアンスはアメリカに本部を持ち、世界80カ国以上で活動している国際的な協会。
RYT200はその中で「ヨガを安全に指導できる基礎力を持つ講師」の目安とされています。
つまり、RYT200を持っているということは、「200時間の学習を通して、解剖学・哲学・ポーズ・呼吸法・指導法を体系的に学んだ」という証です。
ただし、RYT200は国家資格ではありません。
持っていなくてもヨガを教えることはできます。
それでも多くの人が取得を目指すのは、“信頼と安心”の基準になるからです。
RYT200を取るメリット

① ヨガの知識を体系的に学べる
ポーズ、呼吸、心のあり方、体の仕組み。
これらをバラバラではなく「つながり」として学ぶのがRYT200の特徴です。
感覚で行っていたヨガが「理解して伝えられるヨガ」に変わります。
② 教える力がつく
学びの中では、実際に「人に教える練習」も行います。
声のかけ方や、相手の体の見方、クラスの組み立て方など、インストラクターとして必要なスキルが身につきます。
③ 世界で通用する資格
Yoga Allianceは国際的な認定団体なので、RYT200を取得すると海外でも通用します。
インドやバリ島など、ヨガが盛んな地域で学びたい・教えたいという方にも役立つ資格です。
④ 自分のヨガが深まる
「教えるための資格」として知られていますが、実際には“自分を知るための時間”でもあります。
200時間という学びの中で、自分の体や呼吸、心との向き合い方が変わる人は少なくありません。
デメリットも知っておこう
資格を取る前に、少し現実的な部分も知っておきましょう。
取得には時間と費用がかかる:おおよそ30〜60万円前後、期間は3〜6ヶ月が目安です。
スクールによって内容の差が大きい:同じ200時間でも、講師・方針・実技量によって学びの質が全く違います。
資格だけで仕事になるわけではない:実際の指導経験や、コミュニケーション力が重要になります。
RYT200はゴールではなく、“スタートライン”。
学んだことをどう使うかが、資格の価値を決めます。
どんなことを学ぶの?
RYT200のカリキュラムはYoga Allianceの基準で細かく定められています。
規定されている学びの内容を簡単に紹介します。
| カテゴリー | 最低時間配分 | 内容のポイント |
|---|---|---|
| ■ Techniques, Training & Practice(技術・トレーニング・実践) | 75時間 | アーサナ(ポーズ)、プラーナヤーマ(呼吸法)、瞑想、シークエンシング、安全な指導を含む身体的・実践的な要素。ラインエイジ(伝統流派)やスタイルも扱う。 |
| ■ Anatomy & Physiology(解剖・生理) | 30時間 (うち20時間まで動画可) | 骨格・筋肉・関節の動き、呼吸器・循環器・神経系などの基本。 ヨガ実践への応用(アライメント・禁忌・修正)も含む。 |
| ■ Yoga Humanities(ヨガ人文学) | 30時間 (うち20時間まで動画可) | ヨガの歴史、哲学、倫理、主要なテキスト(たとえば Yoga Sūtras of Patañjali、 Bhagavad Gītā)、そして流派・スクールの背景。 さらに、YAの倫理規定・スコープ・公平性(equity)などもカバー。 |
■ Professional Essentials | 50時間 | 指導法(シークエンス設計、クーイング、ペース、環境)、クラス運営、マーケティング・保険・継続教育など、講師としてプロとして活動するためのスキル。実習(プラクティカム)も含まれます。 |
| ■ Elective Hours(選択科目) | 15時間まで (4カテゴリーのいずれかに属する) | スクール・流派・テーマに応じて追加できる時間。例えば、特定スタイル(リストラティブ・陰ヨガ等)、アーユルヴェーダ、セラピー的応用など。自分の専門性(例えばソマティックメソッド)を反映させるのに有効です。 |
「ポーズを学ぶだけ」ではなく、“生き方としてのヨガ”に触れるのも特徴です。
RYT200を取るまでの流れ

① スクールを選ぶ
Yoga Allianceの認定校(RYS200)かどうかを必ず確認。
通学・オンライン・短期合宿など、自分の生活スタイルに合う形を選びましょう。
② 申し込み・受講開始
授業は、アーサナ練習・講義・グループワークなどが組み合わされています。
座学では解剖学や哲学を学び、実践では実際に人に教える練習をします。
③ 200時間の修了
出席率・課題提出・最終試験(実技またはレポート)をクリアすれば修了証を取得できます。
④ Yoga Alliance登録(任意)
修了証をもとにYoga Allianceのサイトで登録を行えば、正式にRYT200認定講師として世界で登録されます(登録料と年会費あり)。
費用と期間の目安
費用:30〜60万円前後(通学)/20〜40万円前後(オンライン)
期間:集中型(2〜4週間)〜通学週1.2回型(3〜6ヶ月)
注意点として、オンラインでも「アーカイブ視聴のみ、動画のみ」は避けましょう。
ライブ授業で質問・実技練習ができる環境が理想です。
また、宿泊リトリート型の場合は別途費用(宿泊・食事・交通)も発生します。
スクール選びのポイント

スクールを選ぶときに、まず大切なのは、なんとなくでいいから、自分が将来どんなふうにヨガをしているかを想像してみることです。
朝の光の中で静かなクラスをしている自分か、しっかり体を動かすレッスンをリードしている自分か。
セラピーやカウンセリングのように“心のケア”を中心にしたいのか、それとも体の仕組みを伝える“解剖学的ヨガ”を深めたいのか。
あるいは、哲学や思想を軸に「ヨガを生き方として伝える」道を歩みたいのか。
ジムやフィットネスクラブで、複数のクラスを担当していきたい人もいるでしょう。
こんなふうに少しだけ未来をイメージしておくと、次に紹介する「スクール選びのポイント」が自分にとって本当に必要な基準かどうかが見えやすくなります。
たとえば――
セラピー的なヨガを学びたい人は、心理学・心身医学・リストラティブヨガなどのカリキュラムがあるスクール。
体の仕組みをしっかり理解したい人は、解剖学・運動学を重視する講師がいるスクール。
哲学や思想を深めたい人は、ヨガスートラや瞑想・哲学の講義がしっかりしているスクール。
現場で実践経験を積みたい人は、実技や模擬クラスが多く、卒業後のサポートがあるスクール。
どの方向が正解というわけではありません。
けれど、“自分はどんなヨガを伝えたいか”を少しでも意識しておくと、情報に振り回されず、自分の感覚で選べるようになります。
スクール選びでチェックしておきたい4つの基準
① 認定校(RYS200)であるか
Yoga Alliance公式サイトで登録されているか確認しましょう。
② 講師の経験と専門分野
解剖学・哲学・指導法など、どの分野を得意としているかをチェック。
「この人から学びたい」と思える講師かどうかも大切です。
③ クラス人数とサポート体制
少人数制で講師としっかり関われるか。
卒業後の相談・練習会があるか。
④ 学び方のスタイル
短期集中で一気に学ぶか、ゆっくりペースで学ぶか。
自分の生活リズムや性格に合った方を選びましょう。
RYT200を取ったあとは?
資格を取って終わりではありません。ここからが本当の学びの始まりです。
① まずは小さく教えてみる
友人や家族に向けて練習クラスを開いたり、地域のスタジオで代講を経験してみましょう。
「教えると理解が深まる」というのは本当です。
② 学びを続ける
ヨガは終わりのない学びです。RYT200のあとにはRYT300という上位資格もあります。
また、瞑想・呼吸法・アーユルヴェーダなど、興味のある分野を深めるのもおすすめ。
③ ヨガを日常に活かす
資格を取ることで、ヨガが特別な時間から“生き方の一部”へと変わっていきます。
姿勢、呼吸、人との関わり方。
どんな場面でもヨガ的な気づきが役立ちます。
よくある質問
Q:RYT200って誰でも取れるの?
A:特別な条件はありません。ヨガ初心者でも受講できます。「学び続ける意欲」が大切です。
Q:オンラインで全部受けても大丈夫?
A:可能ですが、実技やアジャスト(ポーズ補助)の練習が少なくなる傾向があります。
できれば一部でも対面クラスを含めたり、対面クラスで再度受けれるシステムがあるスクールなどを優先しましょう。
Q:資格を取ったら仕事にできますか?
A:すぐにフルタイム講師になるのは難しい場合もあります。
でも、パートタイムや副業、オンラインクラスから始める人も多いです。
Q:更新は必要?
A:Yoga Allianceの登録を続ける場合は、継続教育(YACEP)を受ける必要があります。
登録をやめても、学んだ内容が無効になるわけではありません。
まとめ

RYT200は、ヨガを“教える”ための資格であると同時に、“自分を整える”ための学びのプロセスでもあります。
資格を取ることで、ヨガがより立体的に、現実的に見えてきます。
体・心・呼吸の関係を理解し、人と向き合う力が育っていく。
そしてその学びは、教える場だけでなく、日常生活にも静かに影響していきます。
ヨガをもっと深く知りたい方へ。
RYT200は、その入り口としてきっと価値のある体験になるはずです。