ヨガレッスンで必ずと言っていいほど出てくるポーズの1つであるダウンドッグ。
よく出てくるポーズだから、誰にでもやりやすいポーズなのかと思えば、やり方が間違ってしまうときつい!と感じるポーズです。
このブログを読めば、今ダウンドッグがきつい!と感じているかたも、まだやったことがなくてダウンドッグってきついの?と思っているかたも、ダウンドッグって気持ちいいと思いながらキープできるようになります。
筆者が行っているレッスンでも、このポーズが上手くできない、どうしていいか分からない、なかなか変化を感じないという声は必ず出ますし、このポーズで挫折してしまうかたも見てきました。
せっかく始めたヨガです。ここで挫折しないためにも、今回はダウンドッグに関して説明していきます。
CONTENTS
1.ダウンドッグとはこんなポーズ
1レッスンで1回は出てくるといっても過言ではないダウンドッグ。
まずはやり方をご紹介します。
1.四つ這いになります。両手は肩幅、脚は腰幅に置き、手のひら一枚分両手を前に移動させます。
2.指と指の間隔を開き、手のひらでマットをとらえ、つま先を立てます。
3.吐く息のときに手でマットを押し、お尻を斜め上に上げましょう。
ダウンドッグ以外にも呼び方があり、サンスクリット語ではアドムカシュバーアーサナ、日本語では下を向いた犬のポーズとも言われてます。インストラクターによって言い方は変わります。覚える必要はないですが、知っておくとレッスン内で聞いたときにこのポーズのことかと安心できるでしょう。
ダウンドッグがよく出てくるレッスンは、比較的運動量が高めのクラスです。太陽礼拝と呼ばれる、立って行うポーズがメインの動きの中にダウンドッグが入っています。太陽礼拝以外にも、上半身・下半身ともに伸ばすことができるポーズのため、万能なポーズとしてよく出てきます。
2.ダウンドッグの効果・効能
やってみると難しいダウンドッグですが、実は私たちの体や心にとってプラスな面がたくさんあります。皆さんが抱えている不調も緩和できるかも。
2-1.肩こり、腰痛の緩和
現代人は猫背姿勢が続いています。この状態だと肩の筋肉が外側に広がった状態になり、その状態で筋肉が凝り固まってしまいます。こうなるとだんだんと血行不良が起き、肩こりへと繋がってしまいます。ダウンドッグでは、肩を背骨に引き寄せる必要があります。これによって肩まわりの筋肉が刺激され、肩こり緩和の効果が期待できるのです。
普段座っている姿勢が長い、姿勢が良くないかたで、背筋がまっすぐ伸ばせている人は少ないでしょう。悪い姿勢が続くと、肩はもちろんですが腰にもダメージが来ます。ダウンドッグでは腰まわりを伸ばした状態でキープするため、動かせていなかった筋肉を使え、血行も良くなることで腰痛緩和へと繋がっていきます。
筆者自身、妊娠~出産後ヨガに取り組めなかったときは、慢性的な肩こり・腰痛を感じていました。仕事復帰し、レッスンや自主練でダウンドッグを練習するようになった途端、肩の重だるさが緩和し、腰の痛みも感じにくくなっています。
2-2.二の腕の筋力アップ
ダウンドッグでは、重たい上半身を腕で支えています。特に使われている筋肉は上腕三頭筋です。この筋肉は多くの女性が悩む、二の腕の下の部分に付いている筋肉です。上腕三頭筋は押す動作のときに使われる筋肉のため、現代社会の中であまり使われることがない部位です。それゆえに脂肪が付きやすくなり、上半身がぽっちゃりした印象になりがち。ダウンドッグを行うことでスッキリとした二の腕も手に入れることができます。
筆者は現在、二の腕トレーニングクラスを開講しています。このクラスの中でも、ダウンドッグの動きを取り入れ、お客様から“二の腕が翌日筋肉痛できついです”との声をいただいています。
2-3.血行促進
ダウンドッグは、ヨガポーズの中でも特に全身を大きく使うポーズの1つです。上半身・下半身ともに伸びるため、普段なかなか使えていないような筋肉も刺激ができます。これによって血の巡りが良くなり、体が内側から温まっていきます。血行が良くなることで、体の中の老廃物や余計な水分なども外に出そうとする力が高まり、デトックス効果も期待できます。
女性で多い、末端冷え性のかたには特にオススメしたポーズの1つです。朝行うことで顔色まで良くなり、夜行うことでその日のむくみを解放できるでしょう。
特に夜のクラスでダウンドッグを行うと、自然と体が温まっていくことを体感します。肌寒いさを感じる朝晩などに、体を温めるスイッチとしてやってみてはいかがでしょうか。
2-4.ストレス解消
現代社会において、運動不足ではないという人のほうが少ないくらい、私たちは運動習慣がない生活をしています。コロナ禍になり、更に運動不足は深刻化。目に見える体型などだけではなく、精神面にもマイナスになります。体を動かなさいとストレスが溜まり、仕事・家事育児などの効率が落ちてしまうこともあるかも。
そんなときこそマットの上でダウンドッグをやってみましょう。全身が伸び、深い呼吸を繰り返すことで気持ちも落ち着いてきますよ。吐く息では体の中のモヤモヤした気持ちも一緒に吐ききっていきましょう。
筆者自身、私生活の中で子どもに対して余裕がなくなったときや気持ちが落ち着かず、イライラ気味かもと感じたときに、ダウンドッグを取り入れるようにしています。浅かった呼吸が深くなり、頭が逆さまになることで気持ちもスッキリしていくのを感じます。
2-5.疲労緩和
実はダウンドッグには疲労緩和効果も期待できます。一見動くより、ゆっくり横になって休んだほうが疲労回復につながるのでは?と思いがちですよね。しかし少し体を動かすことによって全身の血行が良くなり、疲労の原因となる乳酸が効率的に処理されるため、横になって休むより疲労緩和が期待できます。
ダウンドッグは太陽礼拝の中で、休憩のポーズとして入っています。もしかしたら疲労緩和の点から、休憩のポーズになっているのかもしれませんね。
参考文献:いちばんよくわがるYOGAポーズ全集 スタジオ・ヨギー/今津貴美 Gakken
3.ダウンドッグで陥りやすいこと
ここからは特にダウンドッグをどうやっていいか分からない、このポーズとにかくきついと思っているかたに読んでほしい章です。あなたはどれが当てはまりますか?
3-1.背中が丸まってしまう
ダウンドッグをやってみると、背中が丸まってしまう・上半身が苦しいと感じるかたはたくさんいます。
原因は下半身が硬いため。下半身の筋肉を伸ばそうとしても痛く無理に頑張ろうとすることで、上半身へ負担がかかってしまっている状態です。背中が丸まったままだと、手首に体重が乗りすぎてしまい、長い時間キープをすることができません。このままだとダウンドッグはきついもので終わってしまいます。
3-2.かかとがマットにつかない
かかとがマットにつかない理由も、下半身の硬さにあります。毎日当たり前に使っている下半身の筋肉ですが、柔軟性が高いかたは少ないでしょう。初めてヨガをやったかたなら、ほとんどのかたはかかとがつかない状態です。ですので焦る必要は全くありません。下半身の筋肉は柔軟性が高まるスピードが遅いと言われている筋肉です。毎日コツコツストレッチをしているのに・・・と落ち込まないようにしてくださいね。
3-3.手が滑る
特に乾燥するシーズンに起きやすい問題です。ダウンドッグでは、両手で上半身を支えているため、マットにしっかり手を置く必要があります。しかし手の置き方・マットの性能・乾燥によって、ツルっと滑ってしまうことがあります。こうなると安心して体重を乗せられず、重心が前にきてしまい辛いダウンドッグになってしまいます。
3-4.とにかくきつくてキープできない
筆者も最初はこう感じていました。特に運動量の高いクラスでは、沢山動いたあと休憩でダウンドッグが入ってきます。これがとにかくきつい。休憩にはならないと感じていました。
今こう感じているかたは、全体的に体が力んでいる可能性が高いです。ダウンドッグは全身の筋肉をまんべんなく使えるポーズですが、その分全身の筋肉の柔軟性も求められるポーズです。だからこそ、どこか硬い部分があると他で補おうとするため、きつさを感じてしまうのです。
筆者の場合、下半身の筋肉が硬く、それに伴って肩まわりが頑張りすぎて力んでいる状態でした。これでは深い呼吸も繰り返すことができず、どんどんきつくなってしまうのです。
4.ダウンドッグを完成するためのコツ
ダウンドッグをいきなり完成させることは難しいです。軽減法と呼ばれる、負担を軽くする方法を知り、だんだん慣れていくようにすることが完成への近道です。ダウンドッグを行う前にやっておきたい準備編とダウンドッグを実際行うときにやってほしい実践編に分けて、コツをご紹介していきます。
準備編
ダウンドッグのポーズをとる前にやっておきたいストレッチ方法をご紹介します。レベル別に3種類ありますので、自分に合ったものを選択してやってみてください。
4-1-1.下半身の筋肉を柔らかくする
ダウンドッグは、下半身の筋肉が柔らかくなることでかなりラクにとれるようになります。だからこそ、柔らかくなるスピードは遅いですが、下半身の柔軟性を上げることがポイントです。
オススメのストレッチ方法を3つご紹介します。
初心者向け
1.両足を揃えて立ち、吐く息で前屈をします。
2.上半身の力は抜き、両手は軽くマットに置きます。
3.足踏みをするように、かかとを上げ下げして、下半身の筋肉を伸ばします。約30秒繰り返しましょう。
中級者向け
1.ダウンドッグになります。
2.この状態のまま、足踏みをします。片足ずつマットに付け、約5秒キープしてから反対の足をマットに付けます。ゆっくりじわじわ伸ばすほうが効果的です。
上級者向け
1.チャイルドポーズの状態から指を組み、腕をハの字にしてマットに置きます。
2.吐く息でお尻をかかとから離し、お尻を斜め上に持ち上げます。
3.膝が完全に伸びなくても大丈夫です。足踏みをするように、片足ずつ下半身の筋肉をゆっくり伸ばしましょう。視線は真下を見てください。
4.15秒ほど行ったら、指を解放してダウンドッグのポーズに変えます。腕の長さが戻り、ダウンドッグが軽くできることを味わってくださいね。
4-1-2.1日1回練習する
私たちの体はとても正直です。やったらやっただけ成果は出ますし、少しやらないとすぐ元の状態に戻ろうとします。だからこそ1日1回ダウンドッグを練習しましょう。柔軟性はいつ高まるか分かりません。昨日はできなかったけど、今日はできたなんてこともヨガではよくあります。やって損がないポーズですので、日課の1つとしてやってみてください。
実践編
ここからはダウンドッグのポーズをとっている最中に行ってほしい軽減法です。柔軟性が高まってくればやる必要はありません。
4-2-1.膝を曲げる
完成形では完全に膝を伸ばしますが、膝を伸ばすと背中が丸まってしまう・脚が伸びすぎて痛い場合には両膝を曲げましょう。膝を曲げることによって硬い下半身への負担を軽減することができます。丸まってしまう背中も伸ばしやすく、重心が手首に乗りやすい状態から抜け出すことができるでしょう。
両膝を曲げた際には、おへそを太ももに近づける意識をもってみましょう。そうすると自然と背中が真っすぐ伸ばせるようになります。
背中を伸ばす意識はヨガではとても大切です。下半身の柔軟性はあるけれど、背中が丸まっているというかたにも、両膝を曲げる方法はオススメです。
4-2-2.かかとを上げる
最初からかかとがマットについている必要はありません。上がっていたって良いのです。4-1で膝を曲げる軽減法をお伝えしましたが、これでもまだ辛さを感じる場合にかかとも上げてみましょう。更にお尻が上げやすくなるはずです。かかとを上げる高さも最初から思いきり上げたほうが良いでしょう。
練習を繰り返す中で、だんだんとかかとの高さを低くしてみて、下半身がきつくならないのであればかかと全部をマットにつけましょう。
すぐにできると思わないほうが良いです。ゆっくりコツコツ練習を繰り返します。本当にできるようになるのかな?と不安に感じるときも出てくるかもしれません。でもやれば必ず体は変わります。ご自身の体を信じて練習をしましょう。
4-2-3.手の置き方を変える
手が滑ってしまうかたにオススメの手の置き方をご紹介します。
ダウンドッグでは、指と指の間隔を広げマットに置きますが、このとき親指と人差し指でアルファベットのLを作るように置いてください。こうすることで親指と人差し指の付け根が滑りにくくしてくれます。
また指の関節が浮いている、指先だけマットに置いている状態でも滑りやすくなります。最初はしっかりマットに置いていても、いざポーズをとると他に意識がいってしまい指への意識が薄くなりやすいので注意してくださいね。
5.こんなときはダウンドッグをやってはダメ
万能なポーズとして紹介してきたダウンドッグですが、やってはいけないときもあります。該当するときはやらないように覚えておいてくださいね。
5-1.妊娠中
ダウンドッグのような逆転のポーズは、血行促進・むくみ緩和のため、マタニティヨガでもオススメポーズとして出てきます。ヨガ・ダウンドッグに慣れているかたで、お医者様からヨガをやってもOKと言われているのであれば様子を見てやってもいいですが、慣れていないかたは滑って思わぬケガに繋がってしまうと大変なので避けましょう。お腹が大きいと、今まで当たり前に出来ていたポーズも感覚が変わっています。これ以外のポーズも今まで以上に慎重に行うようにしましょう。
5-2.生理中
女性にとって月1でくる生理中も避けたほうが良いでしょう。ダウンドッグは逆転のポーズです。外に出そうとしている経血が体内に逆流してしまう可能性があります。こういったことだけでなく、生理中は貧血やふらつきなどの症状も突然出てきます。体が辛いときこそ、ヨガが良さそうと思いがちですが、休むときはきちんと体を休めてあげましょう。
5-3.高血圧
頭を上げ下げすることで気持ちが悪くなってしまうときがあるかもしれませんし、高血圧が悪化してしまう可能性もあります。ダウンドッグ以外にも逆立ちになるポーズや深い前屈は避けてください。一方ヨガで行うゆったりとした呼吸は、血圧を下げる効果も期待できるため、できるものを選んでやってみましょう。
いかがだったでしょうか?私にできる?と思っていたダウンドッグも、やり方とコツさえ分かるとやりやすくなっていきます。体にも心にもプラス面が多いダウンドッグ。もっともっと好きになっていってくださいね。