ストレスをセルフコントロール!ストレスマネジメントのすゝめ

ストレスフルな女性

日常生活や仕事で忙しい日々を過ごしていると、無意識の内に疲れが溜まってしまうばかりか

「頭がいっぱいで、もう物事が整理できない!」

と感じ自分自身がコントロールしきれなくなってしまう経験がある人も少なくないはずです。

現代社会を生きるわたしたちにとってストレスは切っても切り離せない重大な問題であり、ストレスフルな状態を放置してしまうと病気の発症につながり心身の健康を脅かすリスクもはらんでいるのです。

労働者の仕事のストレスについては、厚生労働省が行った調査結果によると労働者の約半数以上が仕事や職業生活に関する項目で「強いストレスを感じる」と回答しています。

引用元:厚生労働省 平成30年 労働安全衛生調査(実態調査)

このように、強いストレスを感じる人々が多い社会に生きる私たちはストレスを自身でコントロールしていくことが求められています。

また、ストレスがあることは仕方ないと思っていませんか?

実は、コントロール方法を知ることで毎日心身ともに健康的に過ごすことができるようになるのです。

本記事では、ストレスをセルフマネジメントする方法「ストレスマネジメント」について紹介します。

ストレスの種類や構造を理解することで、自身でストレスと上手く付き合っていくことを目標としましょう。

ストレスとストレスマネジメントとは

ストレスと向き合うための「ストレスマネジメント」。

ストレスについて知った後、ストレスマネジメントについて学んでいきましょう。

そもそもストレスとは?

ストレスマネジメントの意味を確認する前に、ストレスの概念についておさらいしましょう。

ストレスとは日常生活で受ける環境的な刺激により体や心にプレッシャーや刺激を感じることで、医学・生理学的分野の言葉す。

元々は物理学の言葉で,「物体に圧力を加えることで生じるゆがみ」という意味を持ち現代に用いられるストレスに由来しています。

出典:厚生労働省 Ⅱ 生活指導及びメンタルヘルスケア

ストレスマネジメントとは

ここからは、ストレスを解消するために有効な方法であるストレスマネジメントを紹介します。

ストレスマネジメントを一言で表現すると、「ストレスと上手に付き合っていき、適切な対処をすること」

ストレス解消法には買い物、暴飲暴食などがイメージされますが、ストレスマネジメントにおいてはそのような方法はあくまで方法の1つと捉えられます。

そして根本的にストレスの原因を考え、どのような対処法が一番適切か検討し多角的なアプローチを行うことが特徴です。

ストレスマネジメントにおいて重要なカギとなる、ストレス要因を生む「ストレッサー」について厚生労働省では以下のように解説しています。

ストレスを引き起こす外部環境からの刺激」をストレッサーと定義した。

ボールにたとえると、外からの圧力でゆがんだボールをストレス状態、かかっている圧力がストレッサーである。日常的にはストレスとストレッサー総称してストレスとしている場合が多い。

引用元:厚生労働省 Ⅱ 生活指導及びメンタルヘルスケア

ストレスマネジメントを行うメリット

ここではストレスマネジメントを行うことで得られる効果について2種類のポイント別にご紹介していきます。

1 精神的・肉体的健康の維持

ストレス過多な状態は、暴飲暴食や運動不足など生活習慣の乱れにつながり、さらに生活習慣病などの病気の発症につながるリスク要因ともなるのです。

また「健康」には身体的な側面のみならず、精神面の健康も含まれます。

ストレスが蓄積されることで、精神的に悪影響をもたらすことは良く知られていますがそのメカニズムはストレッサーの認知的評価により心理面に影響を及ぼすものです。

うつ病や不安症などが代表的であり、他には自律神経失調症や幸福感の低下などがあります。

心身の健康を維持するストレスマネジメントを行うことで、心身の健康を守ることができます。

2 職場環境の改善とミスコミュニケーションの防止

ストレッサーが多い職場環境は従業員のやる気を失わせ、パフォーマンスや離職率増加につながります。

企業全体レベルで見ても、トラブル時の判断ミス増加や組織のまとまりがない状態になりかねません。

本来の業務に集中することができる環境が整うと、生産性や業績の向上へとつながるでしょう。

またそのような職場環境は意思伝達にも悪影響が出る「ミスコミュニケーション」を生み出してしまう傾向にもあります。

コミュニケーション・エラーとも呼ばれ円滑な人間関係やチームワークが損なわれてしまいます。

適切なストレスマネジメントを取り入れることで環境改善や問題の未然予防につながるのです。

ストレス軽減に必要な要素

認知的評価の観点からストレス理論を提唱する「ラザルスのストレス理論」より、ストレス軽減のために必要な2つの考え方を紹介します。

ひとつは、「ストレスフルとなる刺激を減らす」こと。

自身の価値観や理念、捉え方などの見直しによりある程度の軽減が可能とされています。

次に、「ストレスへの対処能力を向上させる」ことです。

ストレスフルとされる刺激において、どう対処するか選択肢が多いほどストレス軽減の成功率が高まるとする理論です。

ストレスの要因となるストレッサーとは

ストレスを生み出すきっかけとなるストレッサーは、日々多くの場面において存在します。

社会的に与えられた役割や心理状況だけではなく、気温や湿度などと言った条件の変化による生体反応などもストレッサーとなることがあるのです。

この章では、ストレッサーの具体的な種類や内容を確認していきましょう。

ストレッサーの原因と反応の種類

1 物理的ストレッサー

物理的ストレッサーとは、その名の通り気温や音、光など肉体を通して感じる環境による刺激のこと。

夏場に寒すぎるエアコンが効いた室内や、工事現場が近くにあることで発生する振動や騒音などがあります。

2 化学的ストレッサー

科学的ストレッサーとは、例えば排気ガス濃度が高い環境や標高が高い場所において酸素が欠乏しているシーン、たばこや薬物、食品添加物など化学物質に由来するもののことを指します。

3 心理・社会的ストレッサー

心理・社会的ストレッサーとは、ストレスとして私たちが連想されやすい家庭や職場における問題や仕事上の問題のこと。

心理的ストレッサーには締め切りのある物事や仕事で課せられたノルマなどの場面で感じる緊張や不安と言った感情がともないます。

一方社会的ストレッサーには満員電車などの都市型生活や経済問題、職場関係などに起因するものがあります。

ストレスマネジメントに有効なコーピングの手法とは

ストレスマネジメントの実践方法のひとつとしてストレスコーピングがあります。

ストレスコーピングの定義は以下のようにされています。

ストレスの基(ストレッサー)にうまく対処しようとすることを、ストレスコーピングといいます。

ストレッサーによって過剰なストレスが慢性的にかかると心身へのさまざまな悪影響が考えられるため、健康を維持するにはうまくストレスコーピングすることが必要になります。

引用元:厚生労働省 e-ヘルスネット ストレスコーピング

大きく分類すると以下の2種類に分類されます。

問題焦点型コーピング

直面している問題や課題にそのものについて、自分や周囲の協力を得て根本から解決、対策を立てるコーピング法のことです。

ポジティブシンキングとも呼ばれ、問題を解決だけではなく広義では退職、配置換えなどの回避行動も含まれるものです。

例としてはハラスメントをしてくる上司や同僚のいない部署への異動や、社内効率化をはかることやチーム内で分配することで残業過多を減らすなどが挙げられます。

情動焦点型コーピング

ストレスや不安・不満などの感情面を人に話すと言った対話によるアプローチでストレスを和らげることを目指すコーピング法のこと。

直接的な対処法とは違い、カウンセラーと面談を行うことやゆったりとヨガを行うことなどを通じて感情を間接的にコントロールします。

ストレスマネジメントに関するQA

ここではストレスマネジメントに関する疑問点を解説していきます。

ストレスマネジメントを取り入れる方法はどのようなものがあるか

ストレスマネジメントを導入する場面には、労働者自身がストレスに気がつき正しい対処法を実施する「セルフケア」、職場において部下のメンタルケアや職場環境改善を目的として行う「ラインケア」、産業医やカウンセラー、地域の保険推進センターなどが従業員の心身の健康に対し仕組化などの連携をはかる「社内外の専門家」が挙げることができます。

シーンに応じて適切なアプローチを導入しましょう。

さいごに

ストレスを無理になくそうとするのではなく、記事中で紹介したコーピングなどを知ることで多角的にとらえるとうまく付き合うことができるでしょう。

また、ストレスは必ずしもネガティブな存在ではなく、時には適度なプレッシャーによりやる気やモチベーションアップにつながるなどの側面もありますので、ストレスマネジメントを通じて自分自身の管理能力を培っていくことが大切と言えるでしょう。