
ヨガを深めていくうちに、「ヨガの実践者は特定の食べ物を避ける」という話を耳にしたことはありませんか?
特に、普段何気なく使っている玉ねぎやにんにくが、ヨガの世界では控えられる食材とされていることを知って驚く方も多いかもしれません。
この古代から続く食事法「ヨギズフード」には、単なる健康志向を超えた、心と体の調和を深める知恵が込められています。
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なぜ玉ねぎ・にんにくが避けられるのか?
「玉ねぎもにんにくも体に良いはずなのに、なぜヨガでは避けるの?」と疑問に思う方、いますよね。
確かに現代の栄養学では、どちらも免疫力を高める優秀な食材とされています。
しかし、ヨガの世界では食べ物を単なる栄養素としてではなく、心と意識に与える影響まで含めて捉えます。
玉ねぎやにんにくは、ヨガの教えにおいて「五葷(ごくん)」と呼ばれる食材群に分類され、瞑想や精神的な実践を妨げる可能性があるとされています。
五葷には、にんにく、玉ねぎ、ねぎ、にら、らっきょうが含まれ、これらは強い香りと刺激を持つ共通点があります。
これらの食材は、ラジャス(激質)とタマス(鈍質)の両方の性質を併せ持つため、心の平静を乱し、瞑想に必要な集中力を散漫にすると考えられています。
興味深いことに、この考え方はヨガだけでなく、仏教の精進料理でも同様に実践されており、東洋の霊的伝統において共通して認識されている食事の知恵なのです。
実際のヨガ修行現場での実践
この教えは机上の理論ではありません。
現在でも、インドのヨガアシュラムをはじめ、世界中のヨガ修行施設で実際に実践されています。
多くのアシュラムでは、玉ねぎ・にんにくを一切使わない食事が提供され、長期間の修行者たちがこの食事法を体験しています。
参加者の多くは、最初は物足りなさを感じるものの、数日から数週間経つうちに、心が静まりやすくなったり、瞑想中の集中力が増したりすることを実感すると報告されています。
また、ヒンドゥー教の寺院や、ハレクリシュナ運動などの宗教的コミュニティでも、日常的にこの食事法が実践されており、単なる一時的な修行ではなく、生活様式として定着していることがわかります。
こうした実践の積み重ねが、この食事法の効果を物語っているといえるでしょう。
ヨガの視点から見る心と食べ物の関係
ヨガでは、私たちが口にする食べ物は単に体を作る材料ではなく、心の状態や意識レベルにも直接的な影響を与えると考えられています。
玉ねぎやにんにくなどの五葷が持つラジャス(激質)の性質は、心を興奮させ、感情を刺激し、時には攻撃性や性的欲求を高める作用があるとされます。
一方で、タマス(鈍質)の性質は、意識を物質的なレベルに引き下げ、精神性よりも体の感覚に意識を向けさせる傾向があります。
瞑想やヨガの実践では、心を穏やかで安定した状態(サットヴァ)に保つことが重要です。
そのため、これらの刺激的な食材を避けることで、自然と内なる静寂を保ちやすくなると考えられています。
現代の研究でも、腸と脳が密接につながっていることが明らかになっており(腸脳相関)、私たちが食べるものが感情や思考に影響を与えることが科学的にも支持されています。
古代の瞑想者たちは、現代科学が証明する以前から、この深いつながりを直感的に理解していたのかもしれません。
ちなみに、私もここ1年ほどヨギズフードを実践しています。
大きな変化はわかりませんが、なんとなく気持ちが落ち着いている感じがするのと、体調的にガスが発生しにくいと体感しています。
玉ねぎ・にんにく抜きの美味しい食事のコツ
「玉ねぎもにんにくも使えないなんて、美味しい料理が作れるの?」という心配は無用です。
実は、これらの食材に頼らずとも、十分に満足できる美味しい料理を作ることができます。
旨味を引き出す代替食材
昆布や椎茸などの乾物を使っただしは、深い旨味を提供してくれます。
また、トマトやセロリ、人参をじっくり炒めることで、玉ねぎに似た甘みと旨味を引き出すことができます。
生姜や香草、スパイス類を上手に使えば、にんにくなしでも十分に香り豊かな料理になります。
私は、カレー料理などにはセロリを玉ねぎがわりに使用します。
おすすめの調理法
・野菜の素材の味を活かすシンプルな蒸し料理
・ココナッツオイルやギーを使った風味豊かな炒め物
・ターメリック、クミン、コリアンダーなどのスパイスを活用したカレー
・新鮮なハーブ(バジル、パセリ、ミントなど)を使ったサラダ
・だし昆布を利かせた和風の煮物
段階的な取り入れ方
いきなり完全に断つ必要はありません。
まずは週に1〜2日、玉ねぎやにんにくを使わない日を設けてみてください。
徐々に慣れていくうちに、素材そのものの味を楽しめるようになり、繊細な味覚も育まれていきます。
心地よいバランスを見つける
ヨギズフードは、厳格なルールではなく、自分自身との対話を深めるための一つの方法です。
完璧を目指す必要はなく、できる範囲で取り入れることから始めてみてください。
大切なのは、食べ物と向き合う意識を変えることです。
「今日は何を食べよう?」ではなく、「今の自分には、どのような食べ物が必要だろう?」と問いかけてみる。
そうした小さな意識の変化が、やがて心と体の調和へとつながっていきます。
現代の忙しい生活の中で、完全にヨギズフードを実践することは難しいかもしれません。
しかし、時々でも玉ねぎやにんにくを使わない食事を意識することで、普段気づかない心の微細な変化に気づくきっかけになるかもしれません。
食事は毎日の営み。
その一つ一つを、自分自身を整える大切な時間として捉えることで、日常がより豊かで穏やかなものになっていくでしょう。あなたなりのペースで、心地よいバランスを見つけていってくださいね。