「夜ベッドに入ってもなかなか寝付くことができない」、「最近深く眠れた気がしない」。ストレスが多い現代社会で睡眠についての悩みを抱える人は少なくはありません。
極度のストレスを感じている場合、体も心も緊張状態にあるため、スムーズに入眠することが難しくなります。
厚労省のデータによると、“日本人の約3割が睡眠に何らかの問題を抱えている”そうです。世界でも30〜60%の人が不眠の症状を定期的に感じているとのデータもあります。
引用:厚生労働省 「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf
早く眠りたいのに、疲れすぎていたりや、頭の中に色々なことが思い浮かんでしまいなかなか眠れない。そんな時に効果的なのが、瞑想です。
瞑想を行うことで自立神経が整い、ストレスや不眠を緩和することができます。また、呼吸法やリラックス作用によりストレス耐性がつくので、仕事のパフォーマンスを高める効果があり、医学やビジネスの世界で注目されています。
ただ、仕事や家事などで忙しい毎日の中で、新しい習慣を取り入れることは難しいと感じるかもしれません。そんな時におすすめなのが、「寝る前」のタイミングでの瞑想です。寝る前であれば、瞑想に最適なリラックスした環境がととのっているだけでなく、そのまま入眠することができるので、深い眠りにつきやすくなります。
今回は、毎日が忙しくストレスフルな中でも、良質な睡眠をとりたいという方に向けて、「寝る前に瞑想をする」ことの具体的な効果と、ベッドでできる簡単な瞑想のやり方をご紹介します。
Pub Med “Self-Regulation of Breathing as an Adjunctive Treatment of Insomnia” https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6361823/
CONTENTS
寝る前に瞑想をすることで得られる効果
瞑想は基本的にどのタイミングでおこなっても効果はありますが、「ストレスや疲れで寝付きが悪い」、「いつもあまりよく眠れた気がしない」という人にとって、瞑想のベストなタイミングはまさに「寝る前」です。その理由を以下で解説します。
睡眠の質が高まり、不眠を解消することができる
なかなか眠れない理由の一つとして、脳や体が極度のストレス状態にあることがあげられます。心身が強いストレスにさらされると交感神経が活発になり、自律神経が乱れることで体の不調や不眠をまねきます。
瞑想には交感神経をリラックスさせ、副交感神経を優位にすることで脳を休める作用があるので、瞑想を行うことで自律神経が整い、睡眠の質を高めることができるのです。
とくに夜は一日の疲れを感じやすいタイミングなので、寝る前のタイミングで瞑想し、そのまま入眠することで、睡眠の質を高めるだけでなく、寝付きをスムーズにすることもできます。なので、なかなか寝付くことができないという人はぜひ寝る前の瞑想を試してみてください。
また、忙しく眠る時間がしっかりとれていないというひとにも寝る前瞑想はおすすめです。なぜなら、瞑想には睡眠と同様に脳を休める作用があり、睡眠時間が短くても睡眠の質や満足感が向上するともいわれているからです。ですので、多忙で睡眠時間が足りてない人にとっても寝る前の瞑想は大きなメリットがあるといわれています。
引用:Pub Med “The effect of mindfulness meditation on sleep quality”
気持ちモヤモヤがなくなり、翌朝すっきり目覚めることができる
不安やネガティブな感情など、寝る前に頭に色々なことを考えてしまうと、どうしても寝付きが悪くなりがちになってしまいます。しっかり眠ることができないと、毎朝憂鬱な気持ちで目覚めることになり、仕事や日常生活にも支障をきたしてしまう可能性があります。
寝る前に頭の中に色々なことが浮かんでしまう理由のひとつといわれているのが、DNP(デフォルトモード・ネットワーク)と呼ばれる人間の脳に備わっている機能の存在です。DNPはぼんやりした状態の脳が行なっている神経活動のことで、アイディアや想像性にも関わる大切な機能ですが、一方であれこれ「考えすぎてしまう」といった側面もあり、脳疲労を起こす原因ともなります。
じつは瞑想には、このDNM(デフォルトモードネットワーク)を抑制する効果があることが海外の研究で明らかになっています。瞑想をおこなうことによって、DNPによって引き起こされる、いわゆる“頭に浮かんできた雑念”をなくすことができるのです。
寝る前にあれこれ考えてしまって、なかなか寝付けない人は、寝る前の瞑想で考えすぎの脳をオフにしてあげることが寝付きの改善と睡眠の質の向上に役立つかもしれません。
引用:Pub Med “Meditation experience is associated with differences in default mode network activity and connectivity”
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22114193/
ベッドで寝る前にできる、瞑想の簡単なやり方
基本的な瞑想
基本的な瞑想のやりかた
- ベッド(もしくはリラックスできる場所)に横になります。
- 目をつぶり、ゆっくり呼吸をします。息を深く吸い込み、大きく吐き出します。この時、すべての意識を呼吸に向けるようにします。
- もし途中で頭になにか考えが思い浮かんだら、もう一度呼吸に集中するようにしましょう。
- この動作を数回繰り返します。
最初は、いつの間にか違うことを考えてしまい、呼吸に集中することが難しいと感じるかもしれません。もし上手くできないと思っても、心配する必要はありません。瞑想は最初からできるものではなく、練習することで少しずつ身につけていくことができます。瞑想を始めたばかりで慣れていない頃は、無理せず寝る前に3~5分くらいだけやってみましょう。慣れてきたら15~20分と時間を伸ばしていくことがおすすめです。
マインドフルネス瞑想
自分の意識や呼吸、体に意識を向ける練習をすることで、「今ここに集中すること」を目指します。
マインドフルネス瞑想のやりかた
- テレビや携帯など、部屋から気が散る可能性のあるものをなるべく遠ざけ、ベッドなど、心地よい場所で横になります。
- 自分の呼吸に集中します。10秒かけて息を吸い、10秒間息を止めます。これを5回繰り返します。
- 自分の呼吸と体の状態に意識を集中させ、もし体のどこかが緊張している感じがあれば、その場所を動かしたりしながら緩めるようにしましょう。はじめは、足の指を動かす、手をグーパーしてみるなどが分かりやすいかもしれません。
- もし途中で何か頭に考えが思い浮かんだら、ふたたび呼吸に意識を向けるようにしましょう。
ガイド付き瞑想
瞑想を始めたばかりのときは、アプリなどを使ってガイダンスに沿って瞑想することもおすすめです。瞑想の具体的な手順を説明してくれるので、瞑想初心者の場合はとくに、あれこれ考えず手軽に実践することができます。また、アプリによってはリラックスできる音楽や、呼吸法のトレーニング動画など、さまざまなコンテンツがあるので、楽しく瞑想をスタートできるかもしれません。以下でガイド付き瞑想を探すことができます。
- アプリ(有名なアプリだとheadspaceやcalmなどがあります)
- ポットキャスト
- ガイド付き瞑想のCD
ガイド付き瞑想をするときに、携帯やパソコンを使用する場合は画面をできるだけ暗く設定するようにしましょう。画面が明るいとブルーライトの影響で交感神経を高めてしまい、睡眠を妨げる可能性があるので注意が必要です。
さいごに
もし寝る前に瞑想をやってみたけど、難しいと感じる場合は、部屋を片付けたり、リラックス作用のあるアロマをたいてみたりと、できるだけ集中できる環境をあらかじめ設定しておくことでスムーズに瞑想できる状態をつくることがおすすめです。あとは、できるだけ睡眠の妨げになる刺激から遠ざかるような「環境づくり」を意識することが大切です。例えば、スマホやパソコン、テレビなどを寝る前に見ないようにするなどを心がけるようにしましょう。