みなさんはポリヴェーガル理論を聞いたことがありますか?
私たちがよく知ってる心と体のバランスをとるシステムの一つに自律神経(交感神経と副交感神経)があります。例えば暴漢に襲われた時は、交感神経が優位になり闘争か逃走という選択がされるのが一般的に知られていることです。しかし、副交感神経が優位になり失神してしまうという別の自動選択が行われる場合もあるんです。この失神は副交感神経によるものです。つまり、大変なことが起きた時に交感神経が優位になるという自律神経の働きだけでは説明できないシステムが存在するということです。これはこれまでの常識を覆すことです。そこで新しい常識としてもちあがっているのがポリヴェーガル理論です。
MTY100医師に聞くヨガの話で精神医学を担当した中野輝基先生は、ポリヴェーガル理論をヨガに応用して、精神疾患の方に対するヨガの方法、精神疾患がなくてもヨガインストラクターがヨガクラスで心がけることやできること、自分自身にすべきことを伝えてくれました。
ポリヴェーガル理論は非常に難しい内容でした。自律神経の理論が頭にこびりついているので、切り替えて考えるのは一苦労です。ですが、ヨガのために必要な情報を抜き出しながらまとめられたテキストは、読み返すととてもすっきりまとまっていてなるほどなるほどと再認識できるのです。日本の中ではこのテキストに書かれたポリヴェーガル理論が一番わかりやすいのではないでしょうか。
講座では、うつ病と不安障害の違いも学びました。両者は症状が異なるのです。だからヨガのアプローチも異なります。その方法を、昨今のエビデンスをもとに理解を深めていきました。私たちヨガインストラクターは、自分のヨガクラスに来てくれた生徒さんの状態がよくなると嬉しいものです。ですが、それが自分のヨガのおかげだと考えてはいけません。慢心すると例えば薬を服用する鬱病の方に薬とやめる指示をする人もいるでしょう。それは良い方法ではありません。いい結果が生まれることもありますが、そうではない場合もあるのです。その時に一番困るのは生徒さんなんです。ではどうすればいいのかということですが、信頼できる医学的な情報を知ることが一番です。特に、自分のヨガクラスに来てくれている生徒さんに該当する方がいるインストラクターは、是非知っていただきたいです。10年前の鬱の情報と今の鬱の情報では症状も対処も異なるので、できれば最近のものを知っておくといいです。
私が知っているヨガインストラクターで“誰かのためにヨガを提供したい”と思ってない人は一人もいません。この割合を世界中のヨガインストラクターにあてはめていい気がします。だからこそ必要に応じて医学的な知識を学んでほしい。それは、自分の中の理解を深め自分の自信を高めてくれます。そして生徒さんにとっては、そんな先生がいる安心できる環境となるのです。
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