現役医師へインタビューヨガと医療の可能性 vol.2

MTY100で講師をしている医師、医療従事者へ『ヨガと医療』に関して行なったインタビューを連載していきます。本日は、精神科医である中野陽子先生へのインタビューです。
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循環生理学・呼吸生理学:中野先生

Q:ヨガと医療は今後どのように関わりあっていくと思いますか?

医療のみが主流、という流れからヨガのみならずヨガをはじめとする代替医療と医療はお互いの足りないところを今後補い合っていくと思っています。
現在医療の分野では「マルチモーダル」という考え方が現在主流です。
例えば痛みについて。
1種類の痛み止めだけで対処するのではなく、作用機序の異なる痛み止めを複数(時には内服だけではなくブロック注射なども併せて)組み合わせます。多角面から症状に対応することができ、かつそれぞれの痛み止めの量を減らすことができるメリットがあります。
その「痛み」に対してですが、「暗示や瞑想が痛覚認知に抑制的に働く」という報告があります。
要は注射前に「この注射は3歳の子供でも全く痛がらない針なんですよ」などと説明を加えて「全く痛くない針なんだ」と患者さん本人に思い込ませたり、何か治療行為をする前に瞑想で心を整えさせる、という前処置を行う、ということで実際に痛いと感じる医療行為が行われたとしても痛みをあまり感じなくする、軽減させる、ということです。
医療が症状を緩和するすべてではありません。また、ヨガも何かの症状に対して万能ではありません。ヨガと医療はお互いの足りないところを今後補い合っていくと思っています。

Q:将来的にヨガは保険が適応となるでしょうか?

個人的には「ヨガを処方する」などのような新たな保険適応は日本においては相当ハードルが高いと思っています。
仮に保険適応されたとして誰がヨガを処方するのか。現在の日本の医療では医師のみしか処方箋は出せません。では医者全員にヨガを学ばせるのか?医学部の授業に組み込むのか?
「医療」は国家資格を持つ者しか提供ができないのでリハビリなど理学療法士、作業療法士など国家資格を持つ人たちとの線引きも難しいところです。
ヨガセラピストが国家資格になる、というのもかなりハードルが高いように思います。
現在行われているリハビリの中に施設独自のプログラムとしてヨガを組み込む、などというのが現実的ではないでしょうか?

Q:補完代替医療(ほかんだいたいいりょう)として将来的にヨガが認められるか?

認めらえる可能性はあると思いますが、それなりに時間がかかると思います。
アメリカでは医療費削減の目的の面からも、ヨガを始めとした代替医療が認められています。日本のヨガ界から見ると、「ヨガは代替医療として有効である」ことが有名になってきました。しかし医療者側からするとヨガ界とは正直かなり温度差を感じます。
しかしながら、開業医のクリニックでは治療の一環としてヨガを取り入れているところも出てきました。心臓リハビリとして取り入れていらっしゃるクリニックもあります。
病院に通院される患者さんの多くは高齢者です。日本の歴史を辿ると、宗教の修行の1つとしてヨガを取り入れていた宗教があり、ご高齢の方の印象としてはヨガ=宗教とお感じになられる方が多いのも事実です。
新しいものを取り入れるには何事も時間がかかりますし、急速に広めようとすると逆に拒否反応が強くなって受け入れられなくなりがちです。
私たちのような、両方の世界の良さを知る者達が地道な活動を続けていくことで道が開けていくのだと思っています。

Q:医師から見たヨガインストラクターとして持っておいて欲しい知識と意識は何ですか?

クライアントとしてヨガのクラスを受けに行くと「こういう症状にはこのポーズが効く」「薬を飲まなくてもヨガで治る」などかなり医学に踏み込んだ(かつ正しくない)お話をされているインストラクターの方にお会いすることがあります。
私たち医療者の意識としては「言い切れるものは何もない」と思っています。医療において100%のものなど何もないからです。
よく議論が交わされるところの1つに「ヨガインストラクターと医療側の線引き」があります。
そもそも、白線でピシッと1本の線を引くように、ヨガと医療の間に境界線がなくてもいいと思っています(もちろん境界はあるべきですが白黒のように完全な境界でなくていいという意味です)
しかし、境界線はあるのだ、と知っていて欲しいと思います。MTYの中の講座の「医師に聞く話」の役割とは、より深い知識を共有することはもちろん、こういう境界線に気づいていただく(再認識してもらう)というのも役割の1つなのかなと思っています。

Q:MTY100を通じて伝えたいこと

セラピカルヨガとはセラピーとメディカルを組み合わせた、OMYOGA独自の造語です。「中立」に基づいて考えられた、休息のためのヨガです。
リストラティブヨガとは違い、その方自身の「中立」に導いていくことで身体をより「休息」に持っていく、心身ともにリラックスさせる、ヨガです。
中立に導くということは、ある程度ヨガインストラクターが介入する、ということです。
事故(クライアントに怪我をさせない)なく介入するにはある程度ヨガインストラクターのバックグラウンドに知識を持っている必要があります。
そのためのサポートとして「MTY100 医師に聞く話」があると思っています。
どんなものにも色んな側面があります。
例えば呼吸を例に。ヨガサイドから見る呼吸。
鼻呼吸、深呼吸、ウージャイ呼吸、
医療側から見る呼吸。
「外呼吸/内呼吸、自発呼吸/人工呼吸、陰圧呼吸/陽圧呼吸」
全て同じ「呼吸」なのですが、色々な意味、種類があります。
MTYでは沢山の「面」を共有することで、より安全に、安心にセラピカルヨガを行えるサポートができればいいなと思っています。

メッセージ

生理学はとっつきにくいイメージがあるかもしれません。
ヨガとどのようにつながりがあるのか、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思っています。
リラックスした雰囲気で行いたいと思っているので、講義を聞きに来る、という感じではなく寝っ転がりながらくつろいでいらしてください。お会いできるのを楽しみにしています。

中野陽子先生担当の講座

MTY100 医師によるヨガの話 カラダ:循環生理学・呼吸生理学>>

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