心身に不調があるとよくいわれる「自律神経の乱れ」。自律神経を整えるには生活を構成するすべてが関わってきますが、ヨガはどのようなアプローチができるのでしょうか?
そもそも自律神経って何?
自律神経とは、循環器、呼吸器、消化器といった生命維持に不可欠な内臓器官の働きを支配し、私たちの意志とは関係なく自動的に調節が行われている神経のことです。
自律神経は、交感神経と副交感神経の2系統で構成されています。交感神経は、身体の働きを活発にし、運動器系の機能を向上させます。副交感神経は、身体を休ませ、内臓機能を向上させます。この二つが必要に応じバランスよく切り替わることで体調を正常に整えています。
なぜ整える必要があるの?
交感神経と副交感神経のバランスが崩れると心身に支障をきたします。これが自律神経の乱れた状態です。不規則な生活や過度なストレスが引き起こす原因になるといわれています。
自律神経が乱れると全身の倦怠感、頭痛、肩こり、手足のしびれ、動悸、不整脈、めまい、不眠などさまざまな不調が現われます。自律神経失調症の場合は、自律神経が乱れることで発症し、その症状としてさらに自律神経が乱れるという悪循環に陥ります。
自律神経のバランスのとれた状態を保つことは、健康を維持する機能を正常に働かせるために不可欠です。自律神経の機能そのものの働きをコントロールすることはできませんが、自律神経が乱れないように、生活を構成する食事、睡眠、休養、労働(勉強)、運動の5つを、毎日規則正しく行うことで防ぐことができます。
自律神経の安定によいとされているヨガ
私たち現代人の多くは、デスクワークで長い時間じっと座って身体を動かすことも伸ばすこともせず、日中は外気や日光に当たらず過ごしています。眠る直前までテレビやパソコン、スマートフォンを手放せず、頭も感覚器官も働きっぱなしです。急いで食事を摂り、新鮮でナチュラルな食べ物とも縁遠い食生活を送っている人も少なくないでしょう。
乱れがちな自律神経の乱れにヨガでできることは何でしょうか?ヨガで行う正しい運動で、身体をストレッチして整え、血液や体液の循環を促進します。それにより全身に酸素と栄養がいきわたり、老廃物を取り除きます。各器官が効率的に働けるようにし、身体の機能を回復させます。
リラックス系のヨガも交感神経が優位になりやすい現代社会に効果的なヨガでしょう。とくに夜にヨガを行う場合は副交感神経に働きかけ、心身を落ち着かせていくと質の高い睡眠につなげることができます。
ヨガの呼吸法も自律神経を整えるのをたすけます。胸式呼吸や腹式呼吸を意識的に深く、大きく、呼吸することで脳や筋肉をリラックスさせ、副交感神経の働きをよくしてくれます。
情報に惑わされず、気持ちいい、心地いいが目安
自律神経の働きはインターネットで検索すれば、さまざまな情報が飛び交っています。惑わされずに正しい情報を選びとることが大切です。専門家の話を聞くのも不安や疑問の解決に役に立ちます。
自律神経の働きに変わる神経理論が最近明らかになってきています。それはポリヴェーガル理論とよばれるものです。OMYOGAのMTY100医師に聞くヨガの話精神医学では、この理論をヨガに応用した講座を開催しています。
自分にとって心地よく、気持ちよく暮らせる生活のなかに改善の糸口があるかもしれません。自身の体調不良が続くときは、自己判断せず早めに病院で診察を受けましょう。
ヨガもうまく取り入れて、自分がリラックスできるライフスタイルを見つめ、心身ともに健康に過ごしたいものです。